からだ・首・顔に多発したイボとは|原因・見分け方・レーザー治療・費用
からだ(胸・お腹・背中)や首、顔に小さなイボがいくつもできて、少しずつ増えてきた。人に相談しにくく、自分で数えることもできない——数が多いイボは、スキャナ付炭酸ガスレーザーでまとめて治療する方法があります。まず何のイボかを見極めたうえで、診察に基づく当院の治療をご案内します。
このページの要点
- 向いている方
- からだ(胸・お腹・背中)や首、顔に、小さなイボが数十個から数百個ある方
- 液体窒素を繰り返しても取り切れない、数が多い方
- 数が多いイボを一度にまとめて治療したい方
- 治療の対象
- ヒトパピローマウイルス(HPV)による良性のイボ(ウイルス性疣贅)。脂漏性角化症や皮膚軟性線維腫(アクロコルドン)など、見た目が似た非ウイルス性のイボは対象外です
- 費用(税込)
- 治療費はイボの個数で決まる(1回の治療あたり300個以上は1個330円、299個以下は最低料金一律99,000円)。ご相談・お見積りは毎回3,300円/治療後の経過診察料1,650円。金額を指定して選べるコースや「取り放題」ではありません
- 当院の基本治療
- スキャナ付(フラクショナルモード搭載)炭酸ガスレーザー「コア」で、数が多いイボを1つずつまとめて蒸散する治療
- 受診の流れ
- 初診は診察・カウンセリングとテスト照射のみ(当日の本治療なし。テスト照射の費用はかかりません)。見積りは翌日から4か月間有効。治療は後日予約
- 主なリスク
- 治療後は治療痕(炎症後色素沈着・炎症後紅斑・瘢痕など)が残る可能性があり、残らないことをお約束はできません。かさぶたは上皮化まで顔で約7日・身体で約14日、炎症後色素沈着は顔・首で3〜6か月・身体で1年〜1年半(長い方で2年程度)
- 当院の姿勢
- 定額の「取り放題」ではありません。治療を希望される範囲の中で、術者(院長)が拡大鏡で確認したイボを、患者様が気づいていない小さなものも含めて照射します。個数や金額を指定しての治療は行いません。
当院には、次のような状態でご相談に来られる方がいらっしゃいます。ご自身の状態に近いかどうか、まずご覧ください。
自由診療です。治療内容・費用・治療回数・主なリスク・経過は、症例紹介の章に記載しています。効果・経過には個人差があります。
イボの治療を選ぶ前に
イボの治療に、唯一の正解はありません。何を優先するかによって、選ぶ治療が変わります。費用が事前に確定することを優先する方、ダウンタイムの短さを優先する方、できるだけ多く取り切ることを優先する方——どれも間違いではなく、医療機関ごとに治療の設計が異なります。
当院が指標として選んだのは、イボの数を減らすことです。目立つ数個を取ることではなく、拡大鏡で視認できるイボを1回でできるだけ多く除去し、その後に新しいイボができることをできるだけ抑えることを目的としています。このページに書かれている費用の決め方、治療の進め方、ダウンタイムの長さは、すべてこの目的から導かれたものです。
皮膚科の診断は、視診(肉眼所見)を中心に、診察用光源で皮膚を照らし拡大鏡で観察する方法、撮影画像、問診情報を総合して行います。皮膚の病変は互いに似ているため視診の解釈に幅があり、担当する医師の専門性・臨床経験・知識・技量によって診断や治療の提案が異なることは、医学的に通常の範囲です。このページは、当院がどう考え、どう治療しているかをお伝えするものです。
イボがたくさんある場合、イボ取りの費用はいくらかかりますか?
当院のイボ取り(レーザー治療)は自由診療です。治療費はイボの個数で決まり、1回の治療あたり300個以上は1個につき330円、299個以下は最低料金一律99,000円です。ご相談・お見積りは初診も2回目以降も毎回3,300円、治療後の経過診察料は1,650円で、注射麻酔代はかかりません(いずれも税込)。
個数から総額の目安を計算できます
イボの数が多い方の場合、治療費は「個数 × 330円」で計算できます。ご自身のイボの数がおおよそ分かれば、ご来院前に総額の見当をつけていただけます。
| 1回で治療するイボの数 | レーザー治療費 |
|---|---|
| 299個以下 | ¥99,000(最低料金) |
| 300個 | ¥99,000 |
| 400個 | ¥132,000 |
| 500個 | ¥165,000 |
| 700個 | ¥231,000 |
| 1,000個 | ¥330,000 |
このほかに、ご相談・お見積り料、クリーム麻酔代、麻酔塗布料、内服薬・外用薬の費用がかかります。実際にお支払いいただいた総額の例は、症例紹介の章に記載しています。
見積りは、料金と治療時間を決めるための行為です
見積りでは、治療担当医(院長)が診察用光源で皮膚を照らし、拡大鏡(ルーペ)を用いて視診し、確認できるウイルス性イボを把握します。この個数をもとに、治療料金と、治療に必要な所要時間(確保する予約枠)を確定します。
ウイルス性イボは身体で増減するため、見積り時点の個数は確定値ではありません。イボの見えやすさは、光の条件・皮膚の凹凸・角化の程度・体位などによって変動します。見積り個数は、見積り時点で把握できた病変数の目安です。
お見積りをご覧になってから、治療を受けるかどうかを決めていただけます
ご自身でイボの数を正確に把握することは困難です。見積りの際に拡大鏡で確認すると、患者様が想定されていたよりも数が多くなることがよくあります。
総額がいくらになるか分からないという不安を解消するため、当院では初診時に本治療を行わず、必ず事前にお見積りをご提示しています。想定より数が多く、費用がご予算を超える場合は、治療を見送っていただいて構いません。お見積りは実施日の翌日から4か月間有効ですので、ご自宅でゆっくりご検討ください。
見積り個数・レーザー照射回数・当日の治療個数は一致しません
この3つは、それぞれ意味の異なる数です。当院で使用する炭酸ガスレーザーは直径1.5mm/2mmのスポット径で、1つのイボに対して複数回照射(同一箇所への重ね当て)を行うことが通常です。そのため、レーザーを照射した回数は、イボの個数とは一致しません。また、治療日までにイボが増減することもあるため、見積り個数と当日の治療個数も一致しません。
治療後に、除去した個数をお伝えすることはありません
理由は2つあります。1つは、レーザー照射後の病変は物理的に除去されるため、治療後に病変数を検証する手段が存在しないことです。もう1つは、治療後の皮膚の状態から、照射前の病変が本当にウイルス性イボであったかを証明することが不可能であることです。
数えられない数を、数字としてお伝えすることはしないというのが当院の考えです。治療当日は、麻酔前の治療範囲のマーキングと、術者が診察用光源と拡大鏡で確認したウイルス性イボへの処置のみを行います。
料金の算定基準
当院の料金は、次の4つを基準として算定しています。
- 視認し得た病変数の目安
- 治療範囲
- 所要時間
- 麻酔・処置等の医療資源
「99,000円で受けられるコース」や「イボ取り放題」ではありません。実際の費用は、治療するイボの数と範囲によって変わります。診察のうえ、お見積りで金額をご案内します。患者様のご希望による個数の指定・金額の指定での治療は行っておりません。
| 項目 | 費用(自費・税込) |
|---|---|
| 多発したイボ(炭酸ガスレーザー)1回の治療あたり300個以上=1個につき330円 | ¥330 |
| 多発したイボ(炭酸ガスレーザー)レーザー治療費の最低料金(1回の治療あたり/1回で治療する数が299個以下)※表の下の注釈(2部位までの条件・料金例)を必ずご確認ください | ¥99,000 |
| ご相談・カウンセリング(初診も2回目以降も毎回) | ¥3,300 |
| 多発したイボ レーザー治療 見積り料金 | ¥3,300 |
| 経過診察料(治療後の経過診察) | ¥1,650 |
| 注射麻酔代(局所麻酔) | 無料 |
| クリーム麻酔代(顔・首・デコルテ・両脇) | ¥2,200 |
| クリーム麻酔代(胸・背中上・背中中) | ¥3,300 |
| クリーム麻酔代(腹・背中下) | ¥4,400 |
| 麻酔塗布料 | ¥1,100 |
| 治療直前の内服の胃薬 | 無料 |
| 消炎鎮痛剤(ロキソプロフェンNa・3日分) | ¥270 |
| 鎮痛剤(カロナール・3日分)※ロキソプロフェンNaが飲めない方 | ¥330 |
| 痒み止め(フェキソフェナジン・10日分) | ¥880 |
| トラネキサム酸(60日分) | ¥2,640 |
| 創傷保護テープ(ビジダームテープ) | 中¥1,100/大¥1,650 |
| ワセリン(プロペト) | 30ml ¥440/100g ¥900 |
| 絆創膏(6枚入) | ¥110/袋 |
1回の治療で行う数が299個以下の場合、1回で治療できるのは2部位までです。300個以上の場合、この2部位の制限はありません。
例)顔・首・デコルテ・胸の4部位を希望され、見積り時のイボの合計個数が299個以下で、すべての部位の治療を希望される場合は、2回に分けての治療になります。このときのレーザー治療料金は99,000円×2回=198,000円です。このほかに麻酔代・薬剤費などが別途かかります。
治療費は、見積り時に把握したイボの数(目安)に基づきます。定額の「取り放題」ではなく、個数や金額を指定しての治療は行いません。医療行為には不確実性があり、治療結果には個人差があります。最新の料金は 料金表 でご確認いただけます。
山手皮膚科クリニックでは、顔・首・からだのイボをどのようにレーザーで除去しますか?
当院は主にスキャナ付(フラクショナルモード搭載)炭酸ガスレーザー「コア」で、顔・首・からだのイボを1つずつ蒸散します。診察用光源で皮膚を照らし、拡大鏡(ルーペ)で確認できるイボを、1回の治療でできるだけ多く除去します。診察から照射まで院長が担当します。
スキャナ付炭酸ガスレーザー「コア」で蒸散します
盛り上がったイボは、皮膚から出た部分を薄く削る(蒸散させる)必要があり、炭酸ガスレーザーを用います。当院では主にスキャナ付(フラクショナルモード搭載)炭酸ガスレーザー「コア」(出力0.5〜4J/c㎡)を使用します。スキャナ機能により、コンピュータ制御で深さ・大きさを一定に保ちながら、カンナで削るように平坦に蒸散します。コアは国内承認機器です。機器の詳細は スキャナ付炭酸ガスレーザー「コア」のページ でご確認いただけます。
300個目も、1個目と同じ深さで照射するために
数が多いイボの治療で難しいのは、1個1個の照射そのものではなく、それを数百個くり返しても精度が落ちないようにすることです。
炭酸ガスレーザーは、術者が深さと範囲を調整して使う機器です。当院がスキャナ機能を使うのは、深さの制御を機器が担うことで、術者が1個ごとに判断する負担を減らせるためです。長時間にわたる照射でも、最初の1個と最後の1個で照射の条件を揃えやすくなります。
照射のスピードも同じ理由で重要です。1時間あたり1,000個程度を目安に照射でき、数が多いイボを1回の治療でまとめて蒸散できます。技術を伴う医療行為の結果に、実施者の技量が大きく影響することは変わりません。当院は、その技量を数百個の最後まで保つために、機器の機能を使っています。
拡大鏡で、小さなイボまで確認します
治療では診察用光源と拡大鏡(ルーペ)を使用し、裸眼では見えにくい小さなイボまで確認して照射します。患者様が気づいていない小さなイボも、拡大鏡で確認すると想定より多いことがほとんどです。
患者様ご自身が認識していない病変にも照射します
当院の治療では、患者様ご自身がそこにイボがあると認識していない箇所であっても、術者が診察用光源と拡大鏡で確認したウイルス性イボには照射することになります。小さな病変を含めて処置することで、症状の進行を抑えることが期待できると考えているためです。
治療当日の進め方
治療を希望される範囲を蛍光ペンでマーキングし、クリーム麻酔(約45分)を行います(顔の治療時は洗顔していただきます)。治療直前に鎮痛剤と胃薬を内服し、麻酔を拭き取りながら1つずつ蒸散します。顔にイボが多発している場合は、麻酔注射による神経ブロック(局所麻酔)を併用します。
コアと通常型炭酸ガスレーザーの違い
| 項目 | スキャナ付「コア」 | 通常型炭酸ガスレーザー |
|---|---|---|
| 治療スピード | 1秒あたり最大4個の照射が可能 | イボ1個につき3〜5秒 |
| 1時間あたりの除去数(目安) | 1,000個程度 | 300個程度 |
| 傷の治り(上皮化) | 顔・頸部で約7日、身体で約14日 | 14日前後 |
| 炎症後色素沈着 | 範囲が狭く、薄くなるまでの期間が短い傾向 | 個人差があります |
| 治療痕・瘢痕 | 深さを一定に保ちやすく、治療痕が平坦・均一になりやすい | 深さにムラが出やすく、治療痕が残ることがある |
| 治療精度 | コンピュータ制御で、カンナで削るように一定の深さで蒸散 | 手作業のため、深さにムラが出やすい |
スキャナ機能を用いても、治療痕(炎症後色素沈着・炎症後紅斑・瘢痕)が残る可能性はあり、残らないことをお約束はできません。効果・経過には個人差があります。
イボ取り放題と、山手皮膚科クリニックのイボ治療は何が違いますか?
イボの治療では、医療機関によって「何が先に決まるか」が異なります。個数の上限が先に決まる方式、治療時間が先に決まる方式、治療範囲が先に決まる方式があり、当院は見積りで金額を確定したうえで、拡大鏡で視認できるイボを治療の目安とする方式をとっています。当院は「取り放題」という定額制の治療を行っていません。
「総額を先に知りたい」という点では、同じ目的です
イボの数が多い方が「取り放題」を探されるのは、治療費が青天井にならず、いくら払えばよいかを先に知りたいからだと思います。その目的自体は、当院がお見積りで総額を確定してから治療を行うことと同じです。違うのは、金額と引き換えに何が決まるか、という点です。
方式によって、何が先に決まるか
| 方式 | 先に決まるもの | イボの数が多い場合 |
|---|---|---|
| 個数の上限がある方式 | 金額と、治療する個数の上限 | 上限を超えた分のイボは残ります |
| 治療時間が決まっている方式 | 金額と、治療にかける時間 | 時間内に照射できた分が治療されます |
| 治療範囲で決まる方式 | 金額と、治療する範囲 | 範囲内のイボの数は費用に影響しません。その範囲のイボをどこまで除去するかは、方式そのものからは決まりません |
| 当院の方式 | 見積りによる金額と、治療する範囲 | 決めた範囲の中で、拡大鏡で視認できるイボを1回でできるだけ多く除去します。個数は費用に反映され、治療の終わりを決める条件にはなりません |
どの方式が適しているかは、イボの数と、何を優先するかによって変わります。数が少ない方であれば、上限のある方式でも取り切れます。数が数百個ある方の場合は、上限や時間が先に決まる方式では、その分が残ることになります。
範囲で金額が決まる方式では、費用と治療する範囲が先に確定します。その範囲の中でどこまで除去するかは、医療機関ごとの運用によって異なります。当院は、治療を希望される範囲を決めたうえで、その範囲の中で拡大鏡で視認できるイボを1回の治療でできるだけ多く除去することを、治療の内容としてお伝えしています。
当院がこの方式にたどり着くまで
当院も、以前は別の治療を行っていました。液体窒素による冷凍凝固、スキャナ機能のない炭酸ガスレーザー、グルタールアルデヒドの外用——いずれも当院で実際に行っていた治療です。
これらの治療で、目に見えるイボを取ることはできました。しかし、イボの数そのものを減らすことにはつながりませんでした。取ったあとにまた増える、という経過をたどる方が多かったためです。
現在の方式は、他の方法を知らずに選んだものではなく、行ってきた方法を見直した結果です。だからこそ当院は、数を減らすことを治療の目的に置いています。
イボをレーザーで除去すると、傷跡や色素沈着は残りますか?
イボのレーザー治療では、治療後に治療痕(炎症後色素沈着・炎症後紅斑・瘢痕など)が残る可能性があります。治療痕が残らないことをお約束はできません。かさぶたは上皮化まで顔で約7日・身体で約14日、炎症後色素沈着は顔・首で3〜6か月、胸腹部・背中で1年〜1年半(長い方で2年程度)で薄くなります。
治療後の経過
治療後、照射部位には炎症が起こり、かさぶた・びらんとなります。上皮化までは顔で約7日、身体で約14日かかります。その後に炎症後色素沈着や炎症後紅斑(治療跡の赤み)が生じ、時間をかけて薄くなっていきます。
炎症後色素沈着が起こる割合
炎症後色素沈着が起こる割合は、顔で約20%、頸部で約50%、胸腹部で100%です。胸腹部・背中は炎症後色素沈着が生じやすく、薄くなるまで1年〜1年半(長い方で2年程度)かかります。からだのイボの治療をお考えの方には、この点を必ずお伝えしています。
瘢痕について
大きいイボの治療痕には、瘢痕が残ることがあります。肥厚性瘢痕やケロイドになる可能性は低いものの、体質や治療部位(特に胸腹部)によっては、治療痕が盛り上がって治ることがあります。
深さを一定に保つことと、治療痕の関係
スキャナ機能により深さを一定に保ちやすいため、治療痕は平坦・均一になりやすい傾向があります。ただし、スキャナ機能を用いても治療痕が残る可能性はあり、残らないことをお約束はできません。効果・経過には個人差があります。
イボをまとめて除去したあと、新しいイボは増えにくくなりますか?
当院は、数が多いイボを1回でまとめて除去することで、その後に新しいイボができることをできるだけ抑えることを目的としています。ウイルス性イボの消退にはHPVに感染した細胞に対する免疫の働きが関わることが知られており、当院では、まとめて除去することがこの働きに影響している可能性があると考えています。効果・経過には個人差があります。
研究でわかっていること
HPVが増えるのは表皮です。ウイルス性イボは、皮膚の小さな傷から侵入したヒトパピローマウイルス(HPV)が表皮の基底細胞に感染し、表皮の分化にともなって増殖することで生じます[1]。目に見えて盛り上がっているイボは、HPVに感染した表皮が増殖している部分です。
イボが自然に消えるときには、HPVに感染した細胞を排除する免疫の働き(細胞性免疫)が関わります。良性の病変ができた方の多くは、最終的にこの免疫の働きを獲得し、病変が退縮することが報告されています[2]。
一方でHPVの感染では、細胞が壊れることも血流にウイルスが乗ることもなく、ウイルスが増えて放出される過程が炎症を伴いません。炎症を起こす物質が放出されず、免疫の細胞を呼び寄せる合図も出ないか不十分なため、免疫がウイルスの存在に気づきにくい状態が続きます。これが、イボが長く残る一因と考えられています[2]。
また、皮膚に傷ができると、その部位では血管が広がって血流が増え、免疫にかかわる細胞が集まってきます。炎症・血管新生・細胞の動員は、傷が治る過程に共通して起こる反応です[3]。
当院が考えていること
数が多いイボを1回でまとめて除去すると、2つのことが同時に起こります。1つは、HPVを多く含むイボそのものが大きく減り、そこから周囲の皮膚へウイルスが広がる機会(自己接種)が減ることです。もう1つは、治療した部位の全体が同時に傷を負った状態になり、その範囲で炎症が起こることです。
このとき、除去されたイボに含まれていたHPVの成分と、傷を治すために集まってきた免疫細胞とが、同じ場所に同時に存在することになります。当院では、この状態がHPVに対する免疫の働きに影響し、残っている小さな病変が排除されやすくなる可能性があると考えています。
イボを少数だけ除去した場合、この2つ目のことは起こりにくくなります。取った数が少なければ、炎症が生じる範囲も限られるためです。当院が、目立つイボだけを取るのではなく、視認できるイボをまとめて除去する方針をとっているのは、このためです。
この考え方は、当院が治療の経過から整理したものであり、確立された治療の機序として証明されているものではありません。
ダウンタイムと処置の負担について
この治療では、治療した部位の全体にかさぶたができ、上皮化までの期間はワセリンの塗布などのケアが必要になります。日焼け止めやお化粧ができない期間もあります。当院は、この期間の負担も含めて治療の一部だと考えています。短時間で済ませることや、ダウンタイムを最小限にすることを優先される方には、当院の治療は向きません。
首やからだのイボは、ウイルス性イボと脂漏性角化症(老人性イボ)でどう見分けますか?
「イボ」と呼ばれるものには、ウイルス性疣贅のほかに、脂漏性角化症(老人性イボ)、皮膚軟性線維腫(アクロコルドン)、稗粒腫、汗管腫などがあり、見た目が似ていても別の疾患です。ウイルス性疣贅はHPVの感染によるもので、脂漏性角化症と皮膚軟性線維腫はHPVの感染症ではありません[1]。当院はこの治療の対象をウイルス性イボとしており、診察と拡大鏡で確認したうえで判断します。
首やからだのイボは、ウイルス性のものと、加齢によって現れるものが混在することがよくあります。同じ「イボ」に見えても、原因や性質が異なるため、治療法や適応が変わります。肉眼だけでは区別がつきにくいため、診察での確認が必要です。
| 見分けの軸 | ウイルス性イボ(この治療の対象) | 脂漏性角化症(老人性イボ) | 皮膚軟性線維腫(アクロコルドン) |
|---|---|---|---|
| 主な原因 | ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染 | 加齢・紫外線による皮膚の変化 | 加齢や摩擦による良性のできもの |
| 性質 | 多発し、かいたり触れたりでうつることがある | ウイルス性ではなく、うつらない | ウイルス性ではなく、うつらない。首やわきにできやすい |
| 当院での対応 | 顔・首・からだの多発例を、コアでまとめて蒸散(このページの治療) | 別のメニューで治療(老人性イボのページ) | 当院では治療していません |
この治療の対象と、対象外のもの
この治療の対象は、顔・首・からだ(胸・お腹・背中)に多発したウイルス性イボです。からだのうち、腸骨より下は治療の対象に含みません。次のものは対象外です。
- 手のひら・足の裏のイボ(足底疣贅は難治とされ、別の治療の進め方が示されています[1])
- 扁平疣贅(ウイルス性疣贅の中でも別の病型です[1])
- 水いぼ(伝染性軟属腫。HPVではなく伝染性軟属腫ウイルスによるものです[1])
- 腕、腸骨より下の下腹部・そけい部(股)・脚
- 脂漏性角化症、稗粒腫、脂腺増殖症、汗管腫、老人性色素斑など、ウイルス性イボに見た目が似た皮膚腫瘍
ワキのみの治療は行っておらず、他の体幹(デコルテ・胸腹部・背部)と同時に治療する場合に限ります。授乳中の方の乳輪部分は治療できません。
病理検査が必要になりうる病変について
病理検査(生検)が必要となる可能性がある病変について、当院で治療を行うことはありません。視診上、悪性腫瘍や前がん病変等の可能性を否定できない病変については、保険医療機関での精査および病理検査をおすすめしています。
部位別に、体・お腹・背中のイボのページと首のイボのページでもご案内しています。脂漏性角化症は老人性イボ(脂漏性角化症)のページで、別のメニューとしてご案内します。
首やお腹に小さなイボがたくさんできる原因は何ですか?
ウイルス性イボの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。HPVは健康な皮膚には感染せず、外傷などで生じた小さな傷から侵入して表皮の基底細胞に感染します[1]。すでにあるイボをかいたり触れたりすることで自分の別の部位に広がるため、数が増えていきます。
ウイルス性イボは、皮膚のバリアが弱くなった部分や小さな傷から侵入して生じます。ひげ剃りやタオルでこすれる部位、乾燥しやすい部位などにできやすく、放置すると少しずつ数を増やしていきます。首やからだのイボには、加齢や皮膚のこすれによって現れる、ウイルス性ではないものも混在します。
数が増えていく仕組み
イボがある部位から周囲へHPVが広がり、新しいイボができ、HPVを含む病変がさらに増える、という連鎖が起こり得ます。数が多い方ほど、この連鎖が起こる機会も多くなります。
広がりを抑えるために
気になってかいたり、無理に取ろうとしたりすると、かえって周囲に広がることがあります。数が増える前、範囲が狭いうちに診察を受けることが、治療の負担を軽くすることにつながります。
イボの液体窒素治療や保険診療と、レーザー治療は何が違いますか?
イボの治療で保険適用となるのは、液体窒素による冷凍凝固、電気凝固(イボ焼灼法)、ヨクイニンの内服などです。液体窒素は日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度Aとされ、現在もっとも頻用されている第一選択の治療です[1]。炭酸ガスレーザーによる治療は保険適用外(自費診療)で、ガイドラインでは推奨度Bとされ、標準治療で効果が得られない場合の選択肢の1つとして推奨されています[1]。
保険で受けられる治療
- 液体窒素凍結療法:推奨度A・保険適用[1]
- 電気凝固(イボ焼灼法):推奨度B・保険適用[1]
- ヨクイニンエキス内服:推奨度B・保険適用[1]
液体窒素について
液体窒素は保険で受けられ、第一選択とされる治療です。一方で、凍結の強さが十分でない場合には消失率が下がることが比較試験で示されており、手技によって結果に差が出ることが知られています[1]。また、多発している場合は1回で取り切れず通院を重ねることになりやすく、顔面では色素沈着を残しやすいため通常は行わないという意見もあります[1]。
当院でも以前は液体窒素による治療を行っていました。数が多い方の場合、通院の回数が多くなり、イボの数そのものを減らすには至らなかったというのが、当院の経験です。
レーザー治療について
レーザーによる治療は、ガイドラインで推奨度Bとされています。炭酸ガスレーザーについては、標準治療が無効であった場合の選択肢の1つとして推奨されており、保険適用外である点への配慮が求められています[1]。
治療法を変えていく考え方
ガイドラインでは、1つの治療法に長く固執せず、3か月をめどに治療法を変更していくことが示されています[1]。液体窒素を長く続けても数が減らない場合は、治療の方法を見直す時期にあたります。
他院でイボが取り切れなかった方・イボを繰り返している方へ
液体窒素を何度も受けたが治らない、数が多くて取り切れない——そうした経緯で来院される方は少なくありません。当院ではスキャナ付炭酸ガスレーザー「コア」でまとめて蒸散します。まず診察で治療対象のイボかどうかを見極め、当日治療は行わず、見積りを確認いただいてから治療します。
数が多いイボは、1つずつ処置を重ねると通院と負担が大きくなります。だからこそ、何のイボかを見極める診察と、まとめて治療できる方法が役に立ちます。
当院は当日治療を行わず、治療を押し付けません。まず何のイボかを医師が見極め、必要な治療と費用の見積りをご説明したうえで、ご自宅で検討いただけます。
山手皮膚科クリニックのイボ治療の体制(担当医と方針)
数が多いイボのレーザー治療は、診察・カウンセリングから治療(レーザー照射)まで、院長(医師)が担当します。拡大鏡を使って、裸眼では見えにくい小さなイボまで確認し、治療対象を医師が判断したうえで照射します。
治療に取り組んできた年数
当院は2005年の開院以来、レーザーによるイボ・シミの治療に取り組んできました。
当院の治療方針
当院の治療は、現在あるウイルス性イボの除去に加え、今後新たにできるイボをできるだけ抑えることを目的としています。数が多いイボは増減しながら、放置すると徐々に増える性質があるためです。院長が治療を希望される範囲全体を確認し、拡大鏡で視認できるイボを、患者様ご自身が認識していない箇所も含めて1回の治療でできるだけ除去します。長時間にわたる照射になるため、麻酔を拭き取りながら照射を進めます。いわゆる「イボ取り放題」の定額制ではなく、患者様のご希望による個数指定・金額指定での治療も行いません。費用は、見積り時に把握したイボの数(目安)に基づいてご案内します。
目立つイボだけを取らない理由
目立つイボだけを取ると、周囲に残った小さなイボが後から目立ち、「きれいに取ったのに元に戻った」と感じられることがあります。当院が目指すのは、目立つ数個を取ることではなく、長年の悩みを解消し、患者様が安心してご自身のからだと付き合える状態です。
イボ治療のための予約枠
この治療は長時間にわたる照射を要し、院長の技術・体力・集中力に支えられています。当院では、イボのレーザー治療のために、医師1名あたり毎日4時間以上の予約枠を確保しています。
首・からだにたくさんできたイボをレーザーで除去した症例(治療前後)
首・からだに多発したイボを、スキャナ付炭酸ガスレーザー「コア」でまとめて蒸散した症例です。記載している個数は、いずれも治療前の見積りで把握した個数(料金の算定根拠)です。治療後に除去した個数を数えたものではありません。費用・経過・主なリスクは各症例に併記しています。いずれも自由診療です。
症例1:頸部に多発したイボ(見積り個数 約300個)
首に多発したイボの除去を希望して来院。診察で治療対象を確認し、見積りで把握した個数は約300個でした。この個数をもとに料金と治療時間を確定し、スキャナ付炭酸ガスレーザーでまとめて蒸散しました。
治療内容:スキャナ付炭酸ガスレーザーによる蒸散(見積り個数 約300個)/治療回数:1回/費用(税込・当時):合計108,240円(見積り3,300円+レーザー治療費99,000円+クリーム麻酔2,200円+麻酔塗布料1,100円+トラネキサム酸2か月分2,640円)/主なリスク・副作用:照射部位の炎症、かさぶた・びらん(上皮化まで約2週間)、炎症後色素沈着・炎症後紅斑、瘢痕などの治療痕が残る可能性があります。経過:治療3か月後、イボは取れて炎症後の色素沈着はありませんでした。効果・経過には個人差があります。自由診療です。
症例2:頸部に多発したイボ(見積り個数 約450個)
首に多発したイボの除去を希望して来院。診察で治療対象を確認し、見積りで把握した個数は約450個でした。この個数をもとに料金と治療時間を確定し、スキャナ付炭酸ガスレーザーでまとめて蒸散しました。
治療内容:スキャナ付炭酸ガスレーザーによる蒸散(見積り個数 約450個)/治療回数:1回/費用(税込・当時):レーザー治療費148,500円(見積り個数 約450個×330円)。このほかに見積り3,300円、クリーム麻酔代・麻酔塗布料、トラネキサム酸2か月分2,640円がかかります/主なリスク・副作用:照射部位の炎症、かさぶた・びらん(上皮化まで約2週間)、炎症後色素沈着・炎症後紅斑、瘢痕などの治療痕が残る可能性があります。経過:大きいイボの治療痕には瘢痕が残りました。効果・経過には個人差があります。自由診療です。
症例3:体幹に多発したイボ(からだの多発イボ)
体幹に多発したイボの除去を希望して来院。診察で治療対象を確認し、見積りで料金と治療時間を確定したうえで、スキャナ付炭酸ガスレーザーでまとめて蒸散しました。
治療内容:スキャナ付炭酸ガスレーザーによる蒸散(体幹)/治療回数:1回/費用(税込):レーザー治療費は見積りで把握した個数により算定します(1回の治療あたり300個以上は1個330円、299個以下は最低料金99,000円)。このほかに見積り3,300円、クリーム麻酔代・麻酔塗布料、薬剤費がかかります/主なリスク・副作用:照射部位の炎症、かさぶた・びらん(上皮化まで身体で約14日)、炎症後色素沈着・炎症後紅斑、瘢痕などの治療痕が残る可能性があります。胸腹部・背中は炎症後色素沈着が生じやすく、薄くなるまで1年〜1年半(長い方で2年程度)かかります。効果・経過には個人差があります。自由診療です。
イボのレーザー治療は、初診から治療までどのような流れですか?
完全予約制です。初診は診察・カウンセリングとテスト照射のみで、当日の本治療は行いません(テスト照射に費用はかかりません)。見積りは実施日の翌日から4か月間有効で、治療は後日のご予約です。
- 予約(WEB)ご予約は、予約サイトの「多発したイボ(ウイルス性イボ)のご相談」からお取りいただけます。
- 初診・診察・テスト照射拡大鏡で治療対象のイボを確認します。直径1〜1.5mm程度のイボ3〜4個にテスト照射を行い、照射→かさぶた→紅斑→治癒の経過を小さな範囲で体験していただきます。テスト照射に費用はかかりません。治療の押し付けはせず、当日の本治療は行いません。
- 見積り術者(院長)が拡大鏡で確認したイボの数(目安)に応じて、費用と治療に必要な時間を確定します。見積りのご予約はWEB予約サイトからのみ、当日〜28日先までの日程で承ります。見積り料金は3,300円(税込)で、見積りは実施日の翌日から4か月間有効です。個数や金額を指定しての治療は行いません。
- 治療治療を希望される範囲を蛍光ペンでマーキングし、クリーム麻酔(約45分)を行います(顔の治療時は洗顔していただきます)。治療直前に鎮痛剤と胃薬を内服し(胃薬は無料)、麻酔を拭き取りながらスキャナ付炭酸ガスレーザーで1つずつ蒸散します。顔にイボが多発している場合は、麻酔注射による神経ブロック(局所麻酔)を併用します。照射後は治療箇所にワセリンを塗布し、必要な場合に創傷保護テープや絆創膏を貼付します(必ず貼るわけではありません)。注射麻酔を使用した場合、内出血が生じ、赤みや黄色が消えるまで2〜3週間ほどかかることがあります。
- 治療後のケアと経過診察治療当日は、運動・飲酒はできません。入浴は治療後3日間はできず、洗顔・シャワーは当日から可能です。かさぶたが全てはがれるまでは、1日2回のワセリン塗布が必要で、日焼け止め・お化粧はできません。処方される内服薬(消炎鎮痛剤・かゆみ止め・トラネキサム酸)は飲みきりで、途中では中止しません。かさぶたは顔で7日、身体で14日程度で取れ、その後に炎症後色素沈着や炎症後紅斑(治療跡の赤み)が生じ、顔・首で3〜6か月、胸腹部・背中で1年〜1年半(長い方で2年程度)で薄くなります。経過診察は治療の約1か月後(創傷保護剤を使用した場合は約1週間後)にあり、経過診察料は1,650円です。
自費診療に関する表記
| 診療区分 | 自由診療 |
|---|---|
| 照射出力等 | スキャナ付(フラクショナルモード搭載)炭酸ガスレーザー「コア」 0.5〜4J/c㎡ |
| 治療期間・回数 | 治療回数は原則1回(個数・部位により見積りで確定。経過により追加することがあります) |
| リスク・副作用 | 照射に際して局所麻酔含有クリームまたは麻酔注射剤を使用します。治療後、照射部位に炎症が起こり、かさぶた・びらんとなって上皮化まで顔で約7日、身体で約14日かかります。治療痕(炎症後色素沈着・炎症後紅斑・瘢痕など)が残る可能性があり、治療痕が残らないことをお約束はできません。炎症後色素沈着は顔・首で3〜6か月、身体で1年〜1年半(長い方で2年程度)で薄くなります。肥厚性瘢痕やケロイドになる可能性は低いものの、体質や治療部位(特に胸腹部)によっては治療痕が盛り上がって治ることがあります。注射麻酔を使用した場合は内出血が生じることがあります。 |
| 費用(税込) | 治療費 1回の治療あたり300個以上は1個につき ¥330、299個以下は最低料金一律 ¥99,000。別途、診察料・麻酔・薬剤費等が必要です。使用機器:スキャナ付炭酸ガスレーザー「コア」。 |
| 承認区分 | 炭酸ガスレーザー(コア)は、国内承認機器です。 |
参考文献
- 日本皮膚科学会尋常性疣贅診療ガイドライン策定委員会:尋常性疣贅診療ガイドライン2019(第1版).日本皮膚科学会雑誌 129(6):1265-1292,2019
- Stanley MA:Epithelial cell responses to infection with human papillomavirus.Clinical Microbiology Reviews 25(2):215-222,2012
- Eming SA, Martin P, Tomic-Canic M:Wound repair and regeneration: mechanisms, signaling, and translation.Science Translational Medicine 6(265):265sr6,2014
イボの数が多くてまとめて治療したい方、液体窒素を繰り返しても治らない方へ。当院は当日治療を行わず、まず何のイボかを診察し、見積りを確認いただいてから治療します。
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