ニキビ痕(陥凹)
フラクショナルレーザーの治療理論
”fractional photothermolysis理論”
これまで陥凹したニキビ痕の治療は困難でした。ヒアルロン酸注入、ケミカルピーリング、ロングパルスヤグレーザー照射などさまざまな方法が試みられてきましたが、満足のいく結果は得られませんでした。フラクショナルレーザーは”fractional photothermolysis理論”という概念に基づいた治療法で、唯一陥凹したニキビ痕を改善できる治療です。
fractional photothermolysis理論ではピクセル状(生け花の剣山のよう)にレーザーを照射して皮膚に微細な熱凝固点をつくります。熱凝固点では皮膚の収縮がおこり、陥凹したニキビ痕の面積を縮小させます。また熱凝固では、壊れた組織があたらしく入れ替わるときにコラーゲンの産生をうながし、陥凹した皮膚は盛り上がります。この2つの作用によって陥凹は目立たなくなります。


1.熱凝固による皮膚の収縮作用
フラクショナルレーザーは皮膚表面(表皮と真皮)に微細な熱凝固点をつくること皮膚を収縮させます。下の図をご覧ください。このメカニズムをステーキを例に説明します。ステーキ肉を鉄板で焼くと大きさが小さくなります。これはたんぱく質に熱を加えると熱凝固がおこり収縮する「たんぱく質凝固」という原理です。フラクショナルレーザーは皮膚にピクセル状(生け花の剣山状)の微細な熱凝固をつくります。”ピンク色の正方形”は熱凝固をおこした皮膚です。治療後にたんぱく質凝固により面積が縮小します。

レーザーの先端部はこの正方形の集まりです。照射した小さな正方形の皮膚それぞれが収縮します。下の図はニキビ痕の陥凹部の周囲の皮膚に熱凝固がおこったらどうなるかを示したものです。レーザー照射(①)により熱凝固がおこると皮膚は収縮します(②)。皮膚の収縮は陥凹部を水平方向に引っ張り(③)、それに引きずられて陥凹底部はひっぱり上げられます。

2.コラーゲン新生作用
下の図は皮膚の縦断面の変化をみています。フラクショナルレーザーは皮膚の表皮、真皮上~中層にかけて微細な熱凝固点を作り、ニキビ痕の瘢痕となった皮膚を新しい若い皮膚に置き換えます。この際、コラーゲンも新しく産生され陥凹部は盛り上がっていきます。

下の図はニキビ痕の陥凹底部に熱凝固がおこったらどうなるかを示したものです。レーザー照射(①)により陥凹底部で熱凝固がおこり皮膚は収縮します(②)。陥凹底部の組織は治癒の過程でコラーゲンが増生されて盛り上がります(③)。これにより陥凹底部は小さく浅くなっていきます。

3.ニキビ痕の陥凹の治療のメカニズム
下の図は前述の2つの作用をいっしょに示したものです。ニキビ痕の陥凹の周囲と底部に熱凝固をおこし皮膚を収縮させ、陥凹底部でコラーゲンを新生させる2つの作用でニキビ痕の陥凹は縮小して盛り上がります。フラクショナルレーザーの照射を繰り返すことで、完全に平坦にはなりませんが、目立たなくすることが可能となりました。

2つのフラクショナルレーザーの違い
フラクショナルレーザーには波長1,540nmのヤグ(YAG)レーザー、波長10,600nmの炭酸ガスレーザーがあり、それぞれ用途が少し違います。簡単には波長1,540nmのヤグ(YAG)レーザーは顔が赤くなるダウンタイムが少ないので顔面の広い範囲のニキビ痕の瘢痕に向いて、波長10,600nmの炭酸ガスレーザーは顔が赤くなるダウンタイムが長いのですが効果が強いので、点在する深い少数のニキビ痕の瘢痕 ※ に向いています。浅い瘢痕と深い瘢痕が混在している場合は、全体をヤグ(YAG)レーザーで照射して、深い瘢痕を炭酸ガスレーザーを用いてスポットで照射していきます。※形状からアイスピックスカーと呼ばれます。


1540フラクショナルレーザーとフラクショナル炭酸ガスレーザーCO2RE(コア2)の違い
機種 | 1540フラクショナルレーザー | フラクショナル炭酸ガスレーザーCO2RE(コア2) |
波長 | 1,540nm | 10,600nm |
皮膚深達度 | 表皮下1.5mmまで | 制限なし |
照射面積 | 照射野の20% | 照射野の5~100% |
ニキビ痕の治療効果 | ★★★★ | ★★★★★ |
照射回数 | 5~10回 | 5回程度 |
照射後の赤み(ダウンタイム) | 1~2日 | 1~2ヵ月 |
深い瘢痕 | 〇 | ◎ |
まばらにある瘢痕 | 〇 | 〇 |
広範囲な瘢痕 | ◎ | △ |
治療のながれ
1)ご予約から診察
- ●お電話にて ニキビ痕の治療 のカウンセリングを予約をしてください。診療は自費診療となります。初診料は¥3,240です。
- ● カウンセリングでは、1540フラクショナルレーザー(YAGレーザー)とフラクショナル炭酸ガスレーザーCO2RE(コア2)のどちらが適しているか、治療、治療後の ダウンタイム(顔が赤くなる期間)などの説明を行い、費用をお見積りいたします。
- ●狭い範囲であれば受診当日の照射が可能です。広い範囲の治療では後日の照射になります。
- ●当日の照射で1540フラクショナルレーザーを使う場合、ほかの治療で使用していれば長くお待ちいただくことがあります。
2)レーザー照射のながれ
- 麻酔照射の範囲が小さい場合は自宅にて来院1~2時間前に麻酔含有テープ(ペンレステープ ¥100 院内で販売)を貼っていただき来院いただきます。当日に治療になった場合は麻酔クリームを塗ります。
- 範囲が広い場合はクリニックで麻酔クリームを塗ります。レーザー照射部に麻酔クリーム麻酔を塗布してラップで密封し。20~30分お待ちいただきます。
- ペンレステープははがして、あるいは麻酔クリームをふき取り後、レーザーを照射します。
- レーザー照射終了後はアイスパックにて照射部を冷却します。
※遠方から来院される場合で当日の治療を希望される方は予約時にご相談ください。
陥凹したニキビ痕の治療費用
1540フラクショナルレーザー(税込み)
部位 | 初回 お試 |
1回 |
5回プラン ()内は1回あたりの価格 |
全顔 250ショット |
¥25,000 | ¥44,000 |
¥222,000→¥176,000※ (¥34,560) |
希望範囲 44ショット以上 |
44ショット¥10,260 部位によりお見積りいたします。 |
※1回目支払い:\44,000、2回目支払い:\132,000円
11回目からは10%、21回目からは20%、31回目からは30%割引となります。
照射に際しては麻酔クリームを顔全体に塗布します。別途¥3,300が必要となります。
上の表のショット数と価格は目安です。価格は照射数によって増減があります。
照射に際しては麻酔が必要です。麻酔テープ(1枚\100)または麻酔クリーム(5g\2,200)の費用が別途必要です。
2)フラクショナル炭酸ガスレーザーCO2RE(コア2)(税込み )
部位 | 価格(参考) |
ニキビ痕5ヵ所 | ¥11,000 |
ニキビ痕10ヵ所 | ¥16,500 |
頬部のニキビ痕(低~中密度)(片側) | ¥16,500~¥22,000 |
頬部のニキビ痕(中~高密度)(片側) | ¥22,000~¥33,000 |
価格は参考です。分布・密度によって増減があります。麻酔クリームは顔の大きさで¥3,240です。
費用参考例 フラクショナル炭酸ガスレーザーCO2RE(コア2)
1)左頬部 約25ヵ所
費用(1回) ¥16,200(税込み 参考価格)

2)左こめかみ 約18ヵ所
費用(1回) ¥12,960(税込み 参考価格)

3)左こめかみ
費用(1回) ¥10,800(税込み 参考価格)
