更新日:2023.10.01/公開日:2017.3.1
このコンテンツは山手皮膚科クリニック院長豊福一朋が100%オリジナルで書いています。
ダウンタウムの少ないレーザーでの肌の若返り・エイジングケア
1.1540フラクショナルレーザーによる肌の若返り・エイジングケアとは
1.1540フラクショナルレーザーによる肌の若返り・エイジングケアとは
『アイコン 1540フラクショナルレーザー(サイノシュアー社製)』の1540nmという波長のレーザーは、皮膚に照射することで、真皮に小さな点状の熱凝固を生じさせます。
真皮に熱凝固を生じると、組織の収縮と、熱傷の治癒過程(創傷治癒過程)による皮膚組織の再構築が促がされるためコラーゲンが増加します。
この作用により、肌の若返り・エイジングケアが得られます。
『1540フラクショナルレーザー』は、従来のノンアブレイティブフラクショナルレーザーと比べ皮膚の深くまで届くため、より高い効果が期待できます。
また、ハンドピース先端のクリスタル(レーザー照射面)が5℃に冷却されるコンタクトクーリングシステムを搭載しており、レーザー照射時の疼痛緩和に加え、皮膚表面への熱ダメージを最小限に抑え、レーザー照射による皮膚の赤みを軽減します。治療の理論としては1回あたり20%程度の密度の改善となります。
十分な効果を得るためには、4~6週間の間隔で少なくとも7~9回程度の治療が必要です。
肌の若返り・エイジングケアには、フラクショナルレーザーが効果が高い方法となります。
フラクショナルレーザーには炭酸ガスレーザーのようなアブレーティブレーザーと1540フラクショナルレーザーがあります。
1540フラクショナルレーザーの特徴はダウンタイムが少なく、高い治療効果があることです。
以下のような症状と改善します。
- リフトアップ・タイトニング
- 目元周辺、額、口元周囲のシワの改善
- 毛穴の改善
- ほうれい線の軽減

2.肌の老化のメカニズム
現在準備中
3.1540フラクショナルレーザーとは
フラクショナルレーザーは”fractional photothermolysis理論”という概念に基づいた治療法で、肌の若返りおこなう治療方法の一つです。
fractional photothermolysis理論ではピクセル状(生け花の剣山のよう)にレーザーを照射して皮膚に微細な熱凝固点をつくります。
熱凝固した皮膚のタンパク質は変性しており、細胞はダメージを受けています。
ダメージを受けた皮膚が再生する際に、リモデリングと皮膚の収縮がおこります。リモデリングと皮膚の収縮が老化した肌の若返りをおこします。
レーザーを照射された老化した皮膚組織は変性し、再生した新しい組織に代わられます。皮膚の入れ替えという表現も使われます。

1540フラクショナルレーザーにより皮膚の熱凝固
1540フラクショナルレーザーは1.5mm四方に49個の小さな格子状の熱凝固点をつくります。

1540フ ラクショナルレーザー照射後の皮膚変化:皮膚表面を上から見ています。 ピクセル状の熱凝固 ができています
1540フラクショナルレーザーの深達度
1540フラクショナルレーザーにはXDチップというレーザーの深達度を深める工夫があります。
方眼状に配列した微細な突起を皮膚に圧着し、その先端からレーザーを照射することで真皮の深い層まで効果を発揮できるようになっています。
圧迫により深達度は900~1,100μm(0.9~1.1mm)加算され、レーザーの深達度は1,500μm(1.5mm)までとなります。
有効な出力のレーザーがなかなか届きにくい真皮深層にまで十分な出力のレーザーを照射できる数少ないレーザーです。

1540レーザーのXDチップと圧迫による深達度を高めるメカニズム
4.1540フラクショナルレーザーの作用機序
1540フラクショナルレーザーの肌の若返り効果をリモデリングと皮膚の収縮で説明します。
皮膚のリモデリング
老化した皮膚ではコラーゲンの老化、弾性線維の走行の乱れ、ちぢれ、断裂がおこっています。
皮膚にダメージを与えるとコラーゲンや弾性線維はいったん破壊され生体に吸収されつつ、同時にダメージで活性化された線維芽細胞から新しいコラーゲンや弾性線維が新生されます。
新生されたこれらの物質は若いときの肌の状況に近く再生し、肌が若返ります。これを肌のリモデリングといいます。
リモデリングした皮膚は弾性線維の走行は規則性を取り戻し、新しく産生されたコラーゲンは水分の保持能力が高くなります。

肌のリモデリング(再構築)の過程
皮膚の面積の縮小
1540フラクショナルレーザーは皮膚表面(表皮と真皮)に格子状の微細な熱凝固(熱傷)点をつくることで効果を発揮します。
メカニズムをステーキを例に説明します。ステーキ肉を鉄板で焼くと大きさが小さくなります。
たんぱく質に熱を加えると熱凝固して収縮する「たんぱく質凝固」という原理です。
フラクショナルは皮膚の微細な熱凝固(熱傷)点ではこのステーキ肉のように”皮膚を焼いた”状態になります。
”ピンク色の正方形”は熱凝固をおこした皮膚です。
治療後はたんぱく質の熱凝固により”茶色の正方形”のように面積が縮小します。
レーザーの先端部はこの正方形の集まりです。
照射した小さな正方形の皮膚それぞれが収縮して照射部位全体の皮膚(小さい正方形が集合した大きな正方形)が小さくなります。
ひとつひとつがレーザーの熱傷により微細な面積の熱凝固となります。
熱凝固点の周囲はダメージを受けていない皮膚なので、ここから再生がはじまります。
広範囲に熱傷をおこす従来に方法に比べ、ダウンタイムが圧倒的に短縮され、もっとも心配されていた醜い瘢痕を残すことがなくなりました。
1540フラクショナルレーザーでは1回の照射面積が部位の20%です。
理論上5回ですべての皮膚に熱凝固を引き起こすことになります。
肌の若返りのメカニズム
1)老化した皮膚
老化した皮膚では表皮、真皮の老化により、角層の乱れ、真皮の水分保持能力、弾力性の低下が起こっています。
2)1540フラクショナルレーザー照射(1回目)
格子状にレーザーを照射します。照射された面積は約20%です。
20%の皮膚でタンパク質の熱凝固がおこります。80%の未照射部位が残り、熱凝固した部位の再生を助けます。
この未照射部位があるために、水疱形成、瘢痕形成を防ぎ、炎症後色素沈着なども出現しないか、出ても軽度ですみます。
3)リモデリング(皮膚の再生)
熱凝固をおこした部位は再生します。新しい皮膚に置き換わるのです。
格子状に照射された部分はわずかに収縮しています。全体では照射前より皮膚の表面積が減っています。
皮膚は張った状態になり、小ジワが浅くなります。
4)1540フラクショナルレーザー照射(2回目)
残っている老化した部分2回目のレーザーを照射します。
5)リモデリング(皮膚の再生)
熱凝固をおこした部位は再生します。
このように繰り返しレーザーを照射することで、皮膚に熱傷や瘢痕を形成することなく、安全に確実に皮膚の若返りを実現します。
照射ごとに皮膚の再生と表面積に減少がおこり、小ジワ→中ジワへと効果が及びます。
肌の若返りの効果
主な効果 | 皮膚の リモデリング |
皮膚の 面積の縮小 |
|
肌の若返り (リジュビネーション) |
リフトアップ・タイトニング | 〇 | |
目元周辺、額、口元周囲のシワの改善 | 〇 | 〇 | |
毛穴の改善 | 〇 | 〇 | |
肌質の改善 | 〇 | ||
ほうれい線の軽減 | 〇 |
※1540フラクショナルレーザーの詳細についてはこちらをご覧ください。
5.治療のながれ
1 予約
診察はすべてWEBからご予約をお取りいただく予約制です。クリニック受付ならびにお電話では予約の受付はいたしておりません。
「予約サイト」へいき、選択メニューボタン
から 「肌の若返り」のご相談 を選択ください。
2 初診・初回相談・再相談
- 肌の若返り・エイジングケアのレーザー治療をご希望の方は、先ず『院長外来』の診察にご来院いただいております。診察時に診断と治療方法の説明をおこないます。
- 肌の若返り・エイジングケアのご相談は、自費診療です。自費診察料金は1,650円(税込)です。
- 前回相談日ならびに前回レーザー治療から1年以上経過している方は、再度診察(再相談)が必要です。
- 『院長外来』はWEBからご予約をお取りいただく予約制です。クリニック受付ならびにお電話では『院長外来』の予約の受付はいたしておりません。
3 治療
- 初診・初回相談・再相談の後に治療が可能となります。
- 1540フラクショナルレーザーの施術は看護師が行います。
- 当日の予約に空きがある場合に限り、カウンセリングと同日に施術をお受けいただくことが可能です。
- カウンセリング時に当院からの同日施術への誘導、営業行為は一切ありませんのでご安心ください。
照射の手順
治療当日の朝、ご自宅にて剃り残しが無いよう毛を剃ってからご来院ください。※看護師による剃毛は剃毛代を別途いただきます。
- 洗顔をして、お化粧や日焼け止めを完全に落としていただきます。
- 希望部位に患者様ご自身にて麻酔をしていただきます。
*麻酔の種類は、治療範囲に応じてクリーム麻酔とテープ麻酔を別途ご案内します。
*目の周囲のみ、鼻のみの治療をご希望の場合に使用する麻酔は『ペンレステープ』に限定させていただいております。
*麻酔を使用せずに1540フラクショナルレーザーをお受けいただくことはできません。
顔のクリーム麻酔の様子(写真は当院スタッフ)
- 照射前に看護師が麻酔を除去します。
- 専用のゴーグルで目を保護します。鼻と目の周囲照射時は、ゴーグルを外して照射を行います。
- レーザーを照射します。照射の時間はお顔全体で10分程度です。麻酔が効いていても照射による痛みがあります。
-
*照射希望範囲を1パスします。
*希望範囲全体への照射後、深いニキビ跡箇所に対しては、ご希望によりスタック照射(同一箇所に3ショット連続照射、追加料金あり)を行なっております。 - 照射終了後、患者様ご自身にて照射部位をアイスノンで5~15分間程十分に冷やしていただきます。
- 治療直後より、化粧水等によるスキンケア・お化粧が可能です。
治療直後の顔の赤み 照射による赤みは通常1~2日で消退します (写真は当院院長)
6.注意事項
- 肝斑、過度の日焼け、湿疹、皮膚炎、炎症の強いニキビ、カサブタがある箇所への照射はできません。
- 治療希望部位のヒゲは、照射当日の朝ご自宅にて剃ってください。
- 治療後当日は入浴を避け、シャワー浴にしてください。
- 治療後1週間は照射部へのマッサージや強い摩擦はお控えください。
- 安全に治療を行うために、治療期間中は日焼けを避け、低刺激性の日焼け止めを使用してください。日焼けをした後や大事なご予定がある前は最低2週間あけて治療を受けることをおすすめします(状態によっては治療できない場合があります)。
- 治療前後3日間はトレチノイン、レチノール配合化粧品、一部のニキビ治療薬(デュアック配合ゲル、ベピオゲル、ディフェリンゲル、エピデュオゲル)、ピーリング石鹸の使用を中止してください。
- レーザー照射後は照射部位が赤くなりほてります。治療直後クリニックで十分に冷やしていただきます。ご自宅で冷やしていただく必要はありません。照射による赤みは通常1~2日で消退します。必要な場合、マスク・帽子等をご用意ください。
- 治療後数日~1週間程度、照射部位にざらつきが生じます。
- 1540フラクショナルレーザーの照射面は硬いクリスタルに角錐状の突起があり、それを皮膚に押し当ててレーザーを照射するため、レーザー照射後に微細な点状皮内出血が生じることがあります。点状皮内出血は通常1週間ほどで自然に消退します。
- レーザーのハンドピースの形状痕が1~6週間残ることがあります(特に目の下・こめかみ)。この形状痕は必ず消退します。
- 1540フラクショナルレーザー治療範囲に肝斑または炎症後の色素沈着が出現する場合があります。これらの症状が出現した場合は医師が診察し、症状に応じて1540フラクショナルレーザー治療を継続するか、肝斑治療を行なうかを検討・ご提案いたします。
- 1540フラクショナルレーザーによる治療は、皮膚の創傷治癒過程を促すものであるため、継続治療期間中に皮膚の赤みが持続する、あるいは寒暖差や飲酒時に通常より皮膚が赤くなるといった症状がみられる場合があります。これらの症状は1540治療部位に皮膚を作りかえるために毛細血管が新生、増加することによります。
- 照射部分に小さなニキビが発生することがありますが、通常5日程度で自然治癒します。毎回ニキビが多発し、1週間以上経過しても自然治癒しない場合は、肌質に合わない可能性がありますので1540フラクショナルレーザーでの治療はできません。また、ニキビ治療と1540フラクショナルレーザーによる凹んだニキビ跡の治療は並行して行うことができません。
- 当院ならびに他院にてレーザー治療や、ケミカルピーリング又はその他の皮膚擦傷法による治療を受けている方が、その治療後に1540フラクショナルレーザーによる治療をお受けになる場合は、治療内容に応じて間隔をあけていただく必要があります。必ず予約前に1540フラクショナルレーザーの治療が可能となる期間について当院にお問い合わせください。
- 照射希望部分にヒアルロン酸やレディエッセなどの注入治療およびスレッド挿入後に、1540フラクショナルレーザーを行う場合は、2か月あけていただく必要があります。
- 美容インプラント(プロテーゼ、プレート)挿入部分の直上には照射ができません。
7.治療のエンドポイントについて
- エンドポイントとは、患者様の気になる症状(ニキビ跡・たるみ・シワ・毛穴など)に対しての肉眼的変化が得られにくく(効果の実感が乏しく)なってくる時点のことです。山手皮膚科クリニックでは、症状・肌質毎に使用する最高出力を定めています。各患者様の最高出力での治療を5回行った時点を1540フラクショナルレーザーのエンドポイントとしています。多くの方が、3回目または5回目で最高出力に達し、7回目または9回目で治療のエンドポイントを迎えます。
- エンドポイントを迎えた後は、1540フラクショナルレーザーによって得られた効果を維持する目的(メンテナンス)で3~4か月ごとの照射をおすすめしております。前回照射より4か月以上間隔が空いた場合、治療後の皮膚トラブルを避けるため照射パワーを2段階下げて再開いたします。
8.1540フラクショナルレーザー料金
1540フラクショナルレーザーの料金はこちらをご覧ください。
1540フラクショナルレーザーによる肌の若返り・エイジングケアの概要
診療区分 | 自由診療 | ||||||||||||||||||||
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照射出力等 | 40~70mJ | ||||||||||||||||||||
治療期間及び回数 | 4~6週間の間隔で少なくとも7~9回程度 | ||||||||||||||||||||
施術によるリスク・副作用 | 治療直後にはレーザー照射部位に発赤と痛みがでます。。。 | ||||||||||||||||||||
施術に要する費用 |
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承認区分 | 1540フラクショナルレーザーは国内未承認機器です。 |
注)治療には、国内未承認医薬品または医療機器を用いた施術が含まれます。
治療に用いる医薬品および機器は当院の医師の判断の元、個人輸入の続きをおこなったものです。
個人輸入において注意すべき医薬品等についてはこちらをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1.html