ニキビ(ニキビ、座瘡、アクネ)の症状・原因・診察から治療までの流れ
ニキビ(尋常性座瘡)は早ければ10歳前半から始まり、20歳半ばまでには自然に治ることが多い日常の疾患です。しかし、“たかがニキビ”と思って適正な治療を行わずに放置したり、自分でつぶしたりしていると、強い炎症が起こって皮下組織が破壊されて「ニキビ痕・瘢痕」を残すことがあります。ニキビ治療には多くの誤解があるようで、間違った知識で自己治療することでニキビを悪化させて、その後にずっとデコボコの傷痕・瘢痕をもって生活することになります。そうならないようニキビについて正しい知識を持ってください。
ニキビの症状
ニキビの症状は炎症のないニキビ、炎症のあるニキビに分けられます。炎症のないニキビは「面皰(めんぽう)」といって、毛孔(毛あな)が閉鎖して「閉鎖面皰(白ニキビ)」と、毛孔が開いて黒い内容物(角質や皮脂と汚れで黒くなったもの)が表面に顔を出した「開放面皰(黒ニキビ)」があります。
この面皰に炎症が起こったものは炎症性ニキビです。赤みがあって少しもり上がった状態を「赤色丘疹」といいます。この赤色丘疹に炎症がさらに進んで、もり上がりの頂点に黄白色から白色の膿がたまった状態が「膿疱(のうほう)」です。膿疱の炎症がさらに進んで、皮膚の深くにおよぶと、指で触るとコリコリとした“しこり”となり「硬結(こうけつ)」と呼ばれます。また、さらに炎症が進んで皮膚の中の“ふくろ”状に大きくなったものを「嚢腫(のうしゅ)」といいます。硬結や嚢腫ができると、治療後の瘢痕を残す確率が高くなります。
部位脂腺があるからニキビにできるのですが、からだの部位で脂腺の密度がちがってきます。頭部では約800個/cm2、前額部(ひたい)で約400/cm2、背部で約160/cm2、うでやあしで約50/cm2です。したがって、ニキビは顔面、胸、背部によくできるわけです。
ニキビの原因
ニキビの原因は脂腺が大きくなり、毛孔(毛あな)の角化が進行して、アクネ菌(ニキビ菌)が増殖することです。ニキビができるメカニズムは次の4段階でおこります。
1)アンドロゲン(男性ホルモン)が脂腺を活発化させます。これにより脂腺は大きくなり、皮脂が増産されます。
2)毛孔(毛あな)では異常な角化がおこって、毛孔がつまってしまい面皰(白ニキビ)が形成されます。
3)毛包内にアクネ菌(ニキビ菌)が増殖します。アクネ菌は脂肪が好きで皮脂の増加とともに増殖し、皮脂を分解して遊離脂肪酸という物質をつくります。
4)身体の側はアクネ菌をやっつけようとして好中球という白血球を毛包に差し向けて(好中球遊走)、毛包で両者の戦いが起こりますがそのときに毛包を破壊してしまいます。毛包が破壊されると毛包の内容物が周囲の皮膚組織に漏れ出て、さらなる炎症がおこるわけです。
5)炎症が強いと毛包の周囲の皮膚組織が破壊されて炎症が収まった後に瘢痕となり、皮膚表面からみると凹んだ状態となって残ります。
ニキビ悪化する要因
ニキビの悪化には様々な要因が挙げられます。悪化要因は単独な場合もありますが、多くは複合しており、ストレスが睡眠不足や偏った食事へとつながるなど複雑にからみあっています。
・ニキビ悪化の要因図
肌質とニキビの関係
肌質とニキビは関係があります。肌質は皮膚の水分保持能力(表皮内のセラミドや天然保湿因子など)と皮脂の量との組み合わせで普通肌、脂性肌(オイリー肌)、乾燥型脂性肌(混合肌)、乾性肌に分類されます。ニキビができやすいのは皮膚の水分量と皮脂ともに多い脂性肌(オイリー肌)です。乾燥型脂性肌(混合肌)であっても、オイリーな部分にニキビができやすくなります。
ホルモンとニキビの関係
皮脂の量は体の部位の差以外に、性別、年齢でも異なります。脂腺は一般に男性のほうが女性より大きく、皮脂の分泌量が多いのが特徴です。年齢では男女ともに男性ホルモンの分泌が盛んな新生児、思春期に皮脂の分泌が多く、ニキビが多いのもこの時期に一致します。なお、男性ホルモンは男女ともにもっています。男性ホルモンは思春期以降男女ともに20歳ころがピークとなり、男女ともに40歳くらいから低下しはじめます。よって、思春期から20歳半場にニキビのピークがあるわけです。
性ホルモンは内因性のものですが、薬剤の投与といった外因性のホルモンもニキビの発生に関係しています。副腎皮質ステロイドは脂腺の働きを活発にするため、病気の治療でステロイド剤を長く服用している人にニキビが出ることがあります。
また、ホルモンを産生する腫瘍が体内にあって、ニキビがめだってくることがあります。
食べ物とニキビの関係
「チョコレートやピーナッツを食べすぎるとニキビができやすくなる」という話は日本に限らず欧米でもおなじであり、さまざまな研究論文が出されていますが、肯定、否定双方の報告があり、因果関係はわかっていません。チョコレートやピーナッツ(バター)が直接ニキビを悪化させるという根拠はないのですが、チョコレートにピーナッツに限らず、甘いものや高カロリーの食べ物の過剰な摂取によりニキビが悪化することは理にかなっています。皮脂の主成分はトリグリセリド、スクワレン、ワックスエステルです。トリグリセリドは血中の糖質であるグルコースを材料として合成されます。過剰な糖質、高カロリー食はトリグリセリドの合成を促進して、皮脂を増加させることが考えられます。絶食中にニキビがよくなり、ベジタリアン(菜食主義者)でニキビが軽いことが報告されています。
その他ニキビの原因
・睡眠不足
ニキビがある方を軽症、中等症、重症のグループに分けて、グループ間を比較してニキビと睡眠時間との相関関係を調査した報告がありますが、明らかな相関はなかったとされています。睡眠時間が短いことがニキビを悪化させるとはいえません。しかし、実際には試験期間や仕事で睡眠時間が少なくなってニキビが悪化することは、経験的によくある話です。この場合は睡眠不足が原因なのか、その時の食生活のみだれ(前述)が原因なのかは要因が複雑化しているために判断ができません。また単独でなく複合して原因になっているかもしれません。
・ストレス
ストレスでニキビが悪化することもよく経験されることですが、明確な機序はわかっていません。女性とストレスの研究では、女性のニキビ患者でストレスによって血中の男性ホルモンが上がっていることがあり、これが脂腺の活性化につながりニキビを悪化させている可能性が指摘されています。
・化粧の落ち残り
思春期を過ぎた化粧をする女性では、化粧品がニキビの原因になっていることがあります。フェイスラインに沿って、耳介前部、額の髪の生え際にニキビが多くみられる場合です。フェイスラインは洗顔が不十分になりがちです。化粧品をクレンジングで十分に洗い流さないままで化粧が残っている肌に、翌朝さらに化粧を重ねるといったことを繰り返しおこなっているうちに毛孔(毛あな)が塞がれてしまい、ニキビができてしまいます。
前述の睡眠不足がニキビの原因になるかという話ですが、睡眠不足だとおそらく寝る前に化粧落としも不十分になり、ニキビが悪化する原因となるかもしれません。また、睡眠不足で荒れた肌を隠すために、化粧を厚く塗って毛穴を塞いでいることも考えられます。
・生理前のホルモンバランスの変化
ホルモンバランスが変わる生理前にニキビが悪化するのはよく知られていることです。卵胞期(月経開始から排卵まで)と黄体期(排卵から月経期まで)でのニキビの数を比べて黄体期では卵胞期より統計学的に有意に増加したという報告があります。
ニキビの治療(保険診療)
従来のニキビ治療は内服抗菌薬と外用抗菌薬が中心でありました。2008年からはアダパレン(ディフェリンゲル)が導入され、その後も過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)、クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル配合剤(デュアック配合ゲル)、アダパレン/過酸化ベンゾイル配合剤(エピデュオゲル)が保険適応治療薬として使えるようになりました。治療は急性炎症期と維持期とわけて、それぞれ治療法が異なります。
急性炎症期
面皰(めんぽう)、炎症性皮疹に対する積極的な治療が求められる時期です。急性炎症期の治療期間は最大3カ月を目安として維持期の治療へ移行します。
※炎症性皮疹:赤色丘疹(赤いニキビ)・膿疱(のうほう)
維持期
急性炎症期の炎症が軽快した時期です。微小面皰、面皰が主で、軽微な少数の炎症性皮疹が残っている状態です。軽快した状態を維持するために微小面皰、面皰に対する治療を継続します。
再発あるいは継続する炎症性皮疹には薬剤耐性菌をつくらないような薬剤を選択します。
重症
軽 症:片顔に炎症性皮疹が5個以下
中等症:片顔に炎症性皮疹が6個以上20個以下
重 症:片顔に炎症性皮疹が21個以上50個以下
最重症:片顔に炎症性皮疹が51個以上
急性期の治療
日本皮膚科学会のニキビ治療のガイドラインでは赤色丘疹(赤いニキビ)・膿疱(のうほう)が主体の急性炎症期には下図のような治療法と推奨しています。
重病度 | 薬剤・併用療法 |
---|---|
軽症 | デュアック配合ゲル、ディフェリン+外用抗菌薬、ベピオゲル、ディフェリン、外用抗菌薬 |
中等症 | デュアック配合ゲル、ディフェリン+外用抗菌薬、ディフェリン+内服抗菌薬、ベピオゲル、ディフェリン、外用抗菌薬、内服抗菌薬 |
重症・最重症 | ディフェリン+内服抗菌薬、デュアック配合ゲル、ディフェリン+外用抗菌薬、ベピオゲル、ディフェリン、外用抗菌薬、内服抗菌薬 |
ニキビ外用薬
・デュアック配合ゲル
(クリンダマイシン/過酸化ベンゾイル配合剤)
特徴:
急性炎症期専用の外用剤で効果が高いのですが、保険診療では使用開始から3か月間(急性炎症期を治療する目安)のみに使用できます。
効果がよいと2週間でニキビの数が半分程度まで減ります。
妊娠中の方、妊娠している方でも使えます。
※具体的な治療方法はデュアック配合ゲルを用いた治療方法をクリックしてください。
エピデュオゲル(アダパレン/過酸化ベンゾイル配合剤)
特徴:
急性炎症期専用の外用剤で効果が高いのですが、保険診療では使用開始から3か月間(急性炎症期を治療する目安)のみに使用できます。
効果がよいと2週間でニキビの数が半分程度まで減ります。
妊娠中の方、妊娠している方でも使えます。
※具体的な治療方法はエピデュオゲルを用いた治療方法をクリックしてください。
ディフェリンゲル(アダパレン)
注意点:
妊娠中の方、妊娠している方には使用できません。
※具体的な治療方法はディフェリンゲルを用いた治療方法をクリックしてください。
ベピオゲル(過酸化ベンゾイル)
特徴:
妊娠中の方、妊娠している方でも使えます。
※具体的な治療方法はベピオゲルを用いた治療方法をクリックしてください。
デュアック配合ゲル・エピデュオゲル・ディフェリンゲル・ベピオゲルの外用方法
デュアック配合ゲル・エピデュオゲル・ディフェリンゲル・ベピオゲルによる治療では最初に皮膚刺激症状が出現して、その後にニキビの数が減り始めます。
※デュアック配合ゲルは治療開始より3か月間使用して、その後、ディフェリンゲルかベピオゲルへ変更する。
1)治療開始時(開始~2週間ころまで)
使い始めてから2週間以内に乾燥、ヒリヒリ感、赤みなどの皮膚刺激症状が一過性に現れることがあり、通常は使い続けているうちに改善していきます。
出現頻度ですが、開始より最初の1週間では50~60%の方に刺激症状が出て、使い続けるうちに症状は軽快していきます。開始2週間での出現率は20%、3週間では7%程度まで減少しますので、ほとんどの方は問題なく使えるようになります。
※過酸化ベンゾイルによる接触皮膚炎
初めから薬剤が合わない方が3%程度にいらっしゃいます。デュアック配合ゲル、エピデュオゲル、ベピオゲルを塗った部位全体で赤い皮膚炎が起こる場合は、接触皮膚炎といってそもそもこれらの薬剤が肌に合わない方です。市販薬のクレアラシルには過酸化ベンゾイルという成分が入っているものがあります。過酸化ベンゾイルはデュアック配合ゲル、エピデュオゲル、ベピオゲルの成分でもあります。クレアラシルを使用してかぶれたことがある方は、デュアック配合ゲル、エピデュオゲル、ベピオゲルでもかぶれる可能性があるので注意が必要です。
※デュアック配合ゲル・エピデュオゲル・ディフェリンゲル・ベピオゲルを塗布する際の注意点
これらの外用剤を塗布する場合は目周り、口周り、傷を避けてください。
塗布して刺激感が強い場合は、初めのうちは塗布後10~20分程度で洗い流します。1日おきに塗布してもよいと思います。
これらの外用剤は広く面で塗布するようになっていますが、最初のうちはニキビがあるところのみに塗布するようにして、刺激感がなければ範囲を広げていくやり方もお勧めです。
女性は生理前に皮膚のバリア機能が低下して肌荒れをおこして刺激に敏感になります。はじめて塗布する場合は、生理前を避けるのもよい方法です。
2)効果を確認していく時期(2週間ころ~3カ月頃まで)
ニキビに減り始めます。効果が出る方は2週間で炎症性にニキビの数が半数になることもあります。
3)維持期(3カ月~)
ニキビがおさまっても治療を中止すると、また出てきます。治療は継続することが重要です。
例えば現在20歳で、将来25歳で治る人(治る年齢は個々で予定されています)は、治療したからといって前倒しで23歳で治ることはなく、やはり25歳で治ります。
ニキビの治療をしなければ瘢痕(陷凹)を残して25歳を迎えるかもしれませんが、治療を継続(維持療法)することにより瘢痕が防げます。
外用抗菌薬
外用抗菌薬単独で長期間治療することで、抗菌薬に耐性をもったアクネ菌が出てくることが危惧されていて、外用抗菌薬を単独で使用することは少なくなってきています。できるだけディフェリンゲルやベピオゲルと併用します。
※具体的な治療方法は外用抗菌薬を用いた治療方法をクリックしてください。
外用抗菌薬の製剤の種類と特徴
クリーム | ゲル | ローション | 軟膏 | |
---|---|---|---|---|
製剤の特徴 | ニキビの第一選択でオールマイティー 脂性肌によい アレルギー症状ででることがある |
塗布しやすい ローションより乾燥しにくい |
塗布しやすい 夏によい 胸、背中に適する 乾燥肌に適さない(刺激感) |
夏場・乾燥肌によい ※ざ瘡に保険適応がない |
ナジフロキサシン(アクアチム) | ○ | − | ○ | ○ |
クリンダマイシン(ダラシン) | − | ○ | ○ | − |
オゼンオキサシン(ゼビアックス) | − | − | ○ | − |
○:製剤がある、-:製剤が存在しない
内服抗菌薬
内服抗菌薬を治療効果がない、あるいは少ないのに長期にわたって使用することは、抗菌薬に耐性をもったアクネ菌を出現させる危険性をはらんでいます。不十分な治療効果では、内服抗菌剤の種類をすみやかに変更する必要があります。また、内服抗菌剤単独や外用抗菌薬との併用のみで使うことは避けて、最初からデュアック配合ゲル・エピデュオゲル・ディフェリンゲル・ベピオゲルと併用します。
急性炎症期の3カ月を超えてもずっと継続することは、薬剤耐性の問題でよくありません。
1)テトラサイクリン系抗生剤
ミノサイクリン(商品名:ミノマイシン)、ドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシン)
テトラサイクリン系抗生剤は毛包脂腺へ取り込まれやすい抗生剤です。アクネ菌に対する抗菌作用のみでなく、好中球遊走抑制作用、抗酸化作用、炎症性サイトカインや細胞性免疫抑制作用があり、ニキビの炎症過程で毛包脂腺が破壊されるのを防ぐ作用があります。
ドキシサイクリン、ミノサイクリンは日本皮膚科学会の「尋常性ざ瘡(ニキビ)治療ガイドライン」で推奨度A(もっとも推奨される)となっています。
2)マクロライド系抗生剤
エリスロマイシン(商品名:エリスロシン)、クラリスロマイシン(商品名:クラリス、クラリシッド)、ロキスロマイシン(商品名:ルリッド)、アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)
マクロライド系抗生剤もアクネ菌に対する抗菌作用のみでなく、好中球遊走抑制作用、炎症性サイトカインや細胞性免疫抑制作用のほか、抗アンドロゲン(男性ホルモン)作用があります。
ロキスロマイシンは日本皮膚科学会の「尋常性ざ瘡(ニキビ)治療ガイドライン」で推奨度B(推奨される)となっています。
3)キノロン系(ピリドンカルボン酸系)合成抗菌剤
ファロペネム(商品名:ファロム)、レボフロキサシン(商品名:クラビット)など
テトラサイクリン系抗生剤(ミノサイクリン、ドキシサイクリン)、マクロライド系抗生剤(ロキスロマイシン、クラリスロマイシン)の効果が不十分なときに使います。
ファロペネムは重症例にも効果がありますが、2週間以内に留めるのが原則とされます。
ファロペネムは日本皮膚科学会の「尋常性ざ瘡(ニキビ)治療ガイドライン」で推奨度B (推奨される)となっています。
漢方薬
ニキビ治療の基本はデュアック配合ゲル、エピデュオゲル、ディフェリンゲル、ベピオゲルですが、治療効果の促進、難治例では漢方薬を積極的に処方しています。
※漢方薬処方は健康保険適応です。
ニキビの種類と対応薬品名
薬品名 | 適応するニキビ |
---|---|
桂枝茯苓丸加よく苡仁 (けいしぶくりょうがんかよくいにん) |
ホルモンバランスを調整、生理前に悪化するニキビ 特に女性のニキビ |
荊芥連翹湯 けいがいれんぎょうとう |
頭頸部の慢性の化膿したニキビ。どちらかというと脂性肌に適応子供のころから扁桃腺が腫れやすかった人に効きやすい |
清上防風湯 (せいじょうぼうふうとう) |
ストレス・食物と関係なくできるニキビ 額、眉間、頰部の熱っぽい、痛みがあるニキビ 思春期のニキビ |
十味敗毒湯 (じゅうみはいどくとう) |
化膿してバラバラとまばらにあるニキビ 顔以外に背中・臀部・頭皮にもできる痛みを伴うニキビ |
排膿散及湯 (はいのうささんきゅうとう) |
囊腫を持った炎症症状の強いニキビ |
半夏瀉心湯 (はんげしゃしんとう) |
食欲旺盛な食いしん坊タイプのニキビ 口の周辺からあごにかけて多くできるニキビ 味の濃いこってりした料理、甘い物、お酒で悪化することがあるニキビ |
加味逍遙散 (かみしょうようさん) |
嫌なことを我慢したり、いらいらしたり、環境の変化で悪化するニキビ 生理前に目立って悪くなり、生理がはじまるとよくなるニキビ こめかみ、頬部、顎、胸、背中でできやすいニキビ |
補中益気湯 (ほちゅうえっきとう) |
無理をして疲れるとニキビが悪くなる 身体が疲れると元気がなくなり口数が減るような人 顔色がなんとなく冴えない 胃腸が弱い人で脂の多い食事で悪くなるニキビ |
※青字の漢方薬はニキビ治療の基本的な処方とされています。
※漢方薬は1日2~3回、できだけ空腹時にマグカップ半分程度のお湯に溶かして飲んでください。
粉のままで内服すると効果が落ちます。粉のままで飲む効果も飲まないよりは良いです。
維持期の治療
急性炎症期をうまく治療して、軽微な少数の炎症性皮疹と微小面皰、面皰が残った状況では、ニキビの治療と予防を兼ねて、ディフェリンゲルあるいはベピオゲルの外用を継続します。炎症がない状態であれば、内服抗菌薬、外用抗菌薬は必要ありません。
漢方薬は継続することもあります。
自費治療
通常の治療に反応しない難治例、保険治療では不十分な方でさらなる治療を希望される方、就職活動、写真撮影、結婚式に向けて早く治したい方には自費治療が効果があります。ケミカルピーリングとレーザーフェイシャルがありますが、それぞれ長所、短所があります。
ケミカルピーリングとレーザーフェィシャルの長所と短所
長所 | 短所 | |
---|---|---|
ケミカルピーリング | 即効性がある 結婚式前、写真撮影前の短期的な治療に向いている 肌のツヤがでる きわめて弱い瘢痕改善作用がある |
永続性がない 長期間治療しないと元に戻ることが多い |
レーザーフェイシャル | 治療後も症状が逆戻りしない 効果が永続的である 顔面の脱毛を兼ねる 弱い瘢痕改善作用がある |
治療に時間がかかる |
ケミカルピーリング
グリコール酸を塗布することによって、ニキビの治療することが可能です。
1)角栓融解作用、2)抗炎症作用・抗脂腺作用、3)きわめて弱い瘢痕改善作用があります。
1)角栓融解作用
グリコール酸は表皮の角質細胞を剥離し、ニキビのはじまりである毛孔(毛あな)の閉塞、皮脂が過剰に溜まった状態を改善します。
2)抗炎症作用・抗脂腺作用
膿をもったニキビ(膿疱)の頂点角質を剥離することで、貯留していた膿は排出されます。また、毛毛孔の閉塞が開放されることも相なり、皮脂の分泌が促され、アクネ菌を減少させます。
3)瘢痕改善作用
ピーリングにより、角質細胞から種々のサイトカインの放出を誘導し、表皮や真皮が厚くなり、コラーゲンやヒアルロン酸の増生を促すとされています。レーザー治療に比べると弱い効果ではあります。
ケミカルピーリングの最大の利点は即効性です。お急ぎの場合は2週間に1回の治療が可能です。
たとえば2ヶ月後に急な写真撮影がある、結婚式があるといった場合はケミカルピーリングを2週間おきに3~4回おこないます。
同時に急性炎症期のデュアック配合ゲル/エピデュオゲル/ディフェリンゲル/ベピオゲルの外用、子内服抗生剤、漢方薬を併用して、早期の治療を目指します。
治療例:30歳女性
ニキビの重症度分類では片顔に炎症性皮疹が51個以上ある最重症に分類されます。通常の治療では効果がなく、外用剤、桂枝茯苓丸加よく苡仁湯での治療を続けながら、自宅ではピーリング石鹸と外用ビタミンC塗布を使い治療を開始しましたが、効果が不十分でした。そこで、2週に1回、合計5回の20%から30%グリコール酸でのケミカルピーリングと高濃度ビタミンCイオン導入を行いました。
ケミカルピーリング料金
部位 | 料金(税込み) | |
---|---|---|
グリコール酸ピーリングのみ | 顔(1回) | 8,640円 |
グリコール酸ピーリング++高濃度ビタミンCイオン導入 | 顔(1回) | 12,960円 |
背中 (顔の2倍程度の面積/1回) |
21,600円〜 |
※5回セットで料金を15%割引いたします。
※顔以外の部位の価格に関してはスタッフにお尋ね下さい。施術面積で価格を見積もります。
レーザーフェィシャル
通常の保険診療をおこなっても、治療への反応が鈍い・効果がないといった場合、外用剤などの治療をしなくてもニキビができないような肌にしたいといった場合には、ロングパルス・アレキサンドライトレーザーを用いたレーザーフェィシャルが適しています。ロングパルス・アレキサンドライトレーザーは医療レーザー脱毛に使用するレーザーです。治療の原理は強めにレーザーを照射することで、脱毛と同じメカニズムで毛を燃焼させて、その熱で毛包に隣接したニキビの炎症の舞台である脂腺を熱破壊するものです。脂腺そのものを破壊するので、時間が経っても症状が後戻りすることがありません。1月に1回で7-12回程度の照射をおこないます。時間がかかるので短期での治療には向いていません。やはり、同時に急性炎症期のデュアック配合ゲル/エピデュオゲル/ディフェリンゲル/ベピオゲルの外用、子内服抗生剤、漢方薬の併用はおこなったほうが良いです。
治療例1:28歳女性
ニキビの重症度分類では片顔に炎症性皮疹が21個以上ある重症に分類されます。この写真の女性は、他院で1年間、外用剤、内服抗生剤の治療を行っていましたが、なかなか良くならずに当院を受診されました。さっそく外用剤、外用抗生剤、排膿散及湯を処方、自宅ではピーリング石鹸と外用ビタミンC誘導体を使い治療を開始しました。お急ぎの治療であったために2週に1回、合計7回のレーザー照射を行いました。
症例2:26歳女性
赤みが強いですが、多くは平坦な赤みで、これはニキビが沈静化したあとの炎症です。ニキビの重症度分類では片顔に炎症性皮疹が6個以上20個以下である中等症に分類されます。現在治療中でニキビは沈静化していますが、中等症ながらもニキビが出現と消退を繰り返して赤みがずっと消えません。レーザーを1~2ヶ月に1回で7回の照射をおこなった後6か月後では、レニキビがでない状態となり、炎症も消失して赤みのない肌が戻りました。レーザーの利点はこの状態で終了しても、戻りがないか、あっても少しで済むことです。
レーザーフェイシャル料金
回数 | 初回 | 1回ごと | 3回セット | 5回セット | 8回セット |
料金(税込み) | 12,600円 | 18,900円 | 49,200円 | 75,600円 | 113,400円 |
ニキビの赤みの治療(自費診療)
VビームⅡ
ニキビの治療が終了して新しくニキビができなくなってもニキビ痕が残ることがあります。ニキビ痕は”赤み”と”陥凹”からなります。赤みは放置しても1~2年程度で消えますが、早期に消したい場、あるいは2年以上たっても残っている場合、色素レーザーが効きます。ニキビの赤みの原因は長期にわたって継続した炎症により血管が拡張したり、血管の数が増加したことです。色素レーザーの波長595ナノメートルのレーザー光は、血液中のヘモグロビンに選択的に吸収され、血管内壁が熱破壊されて血管を閉塞させます。これによりニキビの赤みの原因となっている血管をなくすことができます。また、色素レーザーは皮膚のコラーゲンを増やす作用もあり、赤みを伴った浅い陥凹を盛り上げて、平坦にすることもできます。
※色素レーザー赤みがない陥凹には効果がありません。この場合はフラクショナルレーザーを使って陥凹を盛り上げます。当クリニックではシネロン・キャンデラ社のVビームⅡを使用します。
治療例:20歳女性
写真の女性は、当院でレーザーフェイシャルでのニキビ治療を行い、ニキビは出なくなりましたが、赤みと浅い陥凹が残りました。VビームⅡの照射を1カ月おきに3回おこない、赤みはほぼ消失しました。また、赤みを伴った浅い陥凹は平坦化しました。
VビームⅡ料金
料金は参考価格です。赤みの範囲によって料金は異なります。
部位 | 料金(税込み) |
全額(顎含まない) | 32,400円(参考価格) |
両側頬部 | 21,600円(参考価格) |
鼻の周囲 | 10,800円(参考価格) |
料金は参考価格です。赤みの範囲によって料金は異なります。
にきびを除くその他の治療機器
にきびを除くその他の保険診療
にきびを除くその他の自費診療
- ヒアルロン酸注入
- 老人性色素斑
- ケミカルピーリング
- 単純性血管腫・いちご状血管腫
- ハイドロキノン・トレチノイン・美白化粧品
- 口唇のホクロ・シミ・ソバカス
- 下肢のクモの巣状血管拡張
- 傷・瘢痕・妊娠線・リストカット
- 毛穴の開き
- レーザーフェイシャル
- 肌のくすみ・美白
- ニキビ痕(赤み)
- リフトアップ
- 子宮頸がん予防ワクチン
- 医療レーザー脱毛(男性)
- 医療レーザー脱毛(女性)
- しわ取りボトックス注射
- 眼瞼黄色腫
- ケミカルピーリング
- ヒアルロン酸注入
- 静脈湖(口唇の血管腫)
- 老人性血管腫
- サーモンパッチ
- 毛細血管拡張症・赤ら顔
- 肝斑
- 脂腺増殖症
- 稗粒腫
- 汗管腫
- ニキビ痕(陥凹)
- 刺青・入墨・アートメイクの除去
- 老人性色素斑
- 首 イボ
- ビタミンC誘導体
- トレチノイン/ハイドロキノン療法
- サノレックス
- プラセンタ注射
- アロビックス(育毛剤)
- 男性型脱毛(AGA)
- 脂肪溶解注射
- チタン製セカンドピアス
- ファーストピアス
- シミ・ソバカス