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更新日:2019.7.24/公開日:2017.3.8
このコンテンツは山手皮フ科クリニック 院長 豊福一朋が100%オリジナルで書いています。

イボは、ヒト乳頭腫ウイルス(HPV;human papillomavirus)が皮膚に感染してできます。
イボのウイルスは正常の健康な皮膚には感染できないのですが、小さな傷などがあるとそこから皮膚に入り込んでイボをつくります。
一般には外傷を受けることの多い手足や外陰部にできやすく、アトピー性皮膚炎の子供では特に引っ掻くことの多い肘・膝窩にもできます。
有病率は約1%、100人に1人はイボがあるといわれています。
若年ほど多く、米国の報告で15~24歳で1.5%という報告があります。
日本では外来患者の約5%という報告があります。
若年層では割合が高く6-10歳で23%、11~15歳で17%となります。

イボの治療

1)液体窒素による冷凍凝固(保険適応)

保険適応での標準治療です。
日本皮膚科学会の治療ガイドラインでは推奨度A(おこなうように強く勧められる)の治療方法です。
液体窒素を浸した綿棒や液体窒素スプレーでイボを冷凍凝固します。
冷凍により皮膚に炎症が起こり、からだの免疫が活性化してイボを排除します。
1~2週間に1回の頻度で行います。
痛みを伴うのが欠点ですが、確実性があり最も良い方法です。
液体窒素をスプレーで噴出させて、イボを治療する方法もあります。
先端部の噴出口の直径を変えることができ、いろいろなタイプのイボを治療することができます。

顔や頚部に多発するイボでは、治療によりイボはなくなっても、液体窒素を浸す綿棒の形に色素沈着(炎症後色素沈着)をおこすことが多く、後述する炭酸ガスレーザーがよいことがあります。

イボ治療綿棒

綿棒に液体窒素を浸してイボを冷凍します。

液体窒素による治療の様子

液体窒素による治療の様子

液体窒素スプレー

液体窒素スプレー先端部

液体窒素スプレー先端部 さまざまが形があり、イボの大きさ、深さで使い分けができます。

液体窒素スプレーでの治療の様子

2)よく苡仁内服(保険適応)

よく苡仁は漢方薬でハトムギの種皮を除いた成熟種子を乾燥させて生薬です。
よく苡仁は漢方薬といってもハトムギですので毒性はゼロできわめて安全な薬です。
日本皮膚科学会の治療ガイドラインでは推奨度B(おこなうように勧められる)の治療方法です。
全国市販後調査では627例中236例でイボ消失(有効率37.6%)、511例で改善の効果(改善率81.4%)となっています。
年齢別での有効率は別に調査になりますが、乳幼児で71%、学童74%、青年57%、成人20%と、若年で有効率が高い一方、成人では低くなっています。
少ないケースですがよく苡仁を飲むだけでイボがおちる方がいらっしゃいます。
通常は液体窒素による冷凍凝固、ステリハイド液外用と併用して治療します。
錠剤と粉末があり、お子様、ご高齢の方も内服できます。
内服する量は成人で1日18錠、あるいは粉で3~6gです。
小児では用量調整で減量します。
※ハトムギは子宮を弛緩させる働きがあるので妊娠中は内服できません。

3)グルタルアルデヒド(ステリハイド液)外用(保険適応外自費診療)

グルタルアルデヒド(ステリハイド液)は消毒液の原液です。消毒液を作る時は原液を1000倍ほど薄めて使います。
ステリハイドはイボイルスが感染した角層を変性させ治療します。
ときどきしみることがありますが痛みはありません。
この治療単独で効果があることは少なく、当院では液体窒素による冷凍凝固と併用して自宅でおこなっていただきます。
治療のために通院が困難な方、液体窒素の治療の痛みに耐えられない方にはグルタルアルデヒド(ステリハイド液)単独で治療することもあります。
間違って飲むと危険ですから、1~3歳の小さなお子様がいらっしゃるご家庭では使用できません。
使用に際しては承諾書をいただいております。

4)べセルナクリーム(保険適応外自費診療)

尖圭コンジローマに使用される薬剤がイボの治療に使用できますが保険適応外になります。
日本皮膚科学会の治療ガイドラインでは推奨度C1(おこなうことを考慮してもよいが、治療効果に十分な根拠がない)の治療方法です。
薬価は1包1,170円で5包以上は必要になる思います。
イボの部位に1日1回、週3回、就寝前に塗布します。
塗布後はそのままの状態を保ち、起床後に塗布した薬剤を石鹸を用いて、水又は温水で洗い流します。

5)手術

保険適応ですが、イボの治療ではメスで切除する手術は通常行いません。
日本皮膚科学会の治療ガイドラインでは推奨度C1(おこなうことを考慮してもよいが、治療効果に十分な根拠がない)の治療方法です。
イボはウイルス性の病気なので、メスで切ってもウイルスが傷に残っていれば再発するからです。
足底などで1つしかない古い硬くなったイボで、液体窒素でなかなか治らない時は手術をおこなったほうがよい場合があります。

6)ハサミで切る

イボをハサミで切る方法があります。
この方法の利点は高周波メスやレーザーなどを用いなくても簡単におこなえることです。
欠点は隆起が少ないイボや小さいイボはハサミがかからないので治療できないことと、治療後に消えない傷痕(瘢痕)が残る場合があることです。
ハサミで切る方法だと小さいイボは残ってしまうので、それらのイボが増えてしばらくしたらもとの状態にもどるのでよい方法とはいえません。
傷が残りやすい方では、傷が盛り上がった瘢痕となり醜形をきたすことがあるので注意された方がよい治療法です。

ハサミでイボを切ったあとの肥厚した瘢痕 青い矢印がイボ、赤い矢印が傷痕(瘢痕)

上の写真は他院でイボをハサミで切った治療された方です。
ハサミではすべて治療することができず、残ったイボからまた数が増えていくことが予想されます。
残った瘢痕はイボよりも大きく、白く盛り上がった状態で将来も消えないことが心配されます。

7)炭酸ガスレーザー(保険適応外自費診療)

イボを炭酸ガスレーザーで蒸散させる方法です。
日本皮膚科学会の治療ガイドラインでは推奨度B(おこなうように勧められる)の治療方法です。
これまでの研究での有効率は50~100%です。
論文からの有効率では、爪周囲のイボで71%、爪に下に入り込んでいるイボで80%の効果があったとの報告があります。
液体窒素での冷凍凝固治療では治らなかった足底のイボ31例を治療して1回の照射で89%の消失率、11%の再発率であったとの報告があります。
液体窒素では治療が困難な難治性のイボや顔面・頚部に多発するイボの治療に使われます。
顔面や頸部では直径0.5mm、1mm、1.5mm、2mmといった非常に小さく限定された領域をレーザー照射できるので、治療後の炎症後色素沈着が最小限に抑えられ、顔、頚部、胸などに多発する小さなイボの治療に適しています。

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液体窒素では治療が困難な難治性のイボ

液体窒素による冷凍凝固を週1回おこなっていてもなかなか治らない方を対象にしています。
炭酸ガスレーザーでの治療効果は100%ではありません。かならず治癒するものではありません(1回の照射で89%の消失率、11%の再発率)。
再発例には引き続き液体窒素の冷凍凝固を続けることで治癒する可能性があります。
炭酸ガスレーザーでイボとその周囲皮膚を蒸散させることで強い炎症が起きて、これがイボの対する免疫反応の引き金となって、結果的にイボがなくなると考えています。

治療例:

30歳男性の右の人差し指のイボです。皮膚科で液体窒素の治療を1年以上されているにもかかわらず、いっこうに治らないのでレーザー治療目的で来院されました。
治療回数1回、通院3回(通院期間1カ月。総治療費¥28,080
治療のリスク 炎症後の痛み(消炎鎮痛剤の内服で対応), 治療後の二次感染(内服・外用抗菌剤で対応)

レーザー照射前

局所麻酔をおこない、炭酸ガスレーザーでイボとその周囲組織を蒸散させます。

レーザー照射後3カ月
液体窒素の治療を行うことなしにレーザー治療のみで治癒しました。

頚部に多発するイボ

顔面、頸部のイボへの液体窒素治療で炎症後色素沈着が起こるのが嫌な方、通院が大変なので1回ですべてイボを治療したい方には炭酸ガスレーザーが適しています。
※頸部はイボ以外にアクロコルドン、皮膚軟性線維腫というイボより一回り大きい皮膚腫瘤の好発部位です。
アクロコルドン、皮膚軟性線維腫の治療では1か所1か所の麻酔の注射をおこなってレーザーで蒸散させるので、治療法が違います。

多発するイボ治療の詳細は「顔・頸部(くび)・おなかの多発したイボ」の項目をごらん下さい。

治療例:
40歳台男性の頸部に多発するイボです。液体窒素で治療するための頻回の通院が面倒で1回ですべて治療したいのでレーザー治療を希望され来院されました。
治療回数1回、通院3回(通院期間1カ月)。総治療費¥36,720
治療のリスク 炎症後の痛み(消炎鎮痛剤の内服で対応), 治療後の皮膚の炎症(ステロイド外用剤で対応), 炎症後色素沈着(自然に軽快、気になるとときはハイドロキノンなどの美白剤で対応)

レーザー照射前

レーザー照射直後

レーザー照射後3カ月

イボ冷凍凝固法(保険適応)

  保険点数 自己負担額(30%の場合)
初診料 282点 \846
再診料 72点 \216

いぼ冷凍凝固法(3ヶ所以下)

210点 \630

いぼ冷凍凝固法(4ヶ所以上)

260点 \780

自費診療費用

外用剤 単位 価格(税込み)
ステリハイド液 30mL 500円
べセルナクリーム(院外処方※) 1包  1,170円

炭酸ガスレーザー料金

  大きさ 費用(税込み)
難治性イボ(1個)※1 直径3mm未満 \11,000
直径3mm以上5mm未満 \16,500
直径5mm以上8mm未満 \22,000
直径8mm以上 \33,000~

多発したイボ・くびやからだのイボのレーザー

治療の詳細は「顔・頸部(くび)・おなかの多発したイボ」の項目をごらん下さい。

炭酸ガスレーザー 1個\330

※ 治療範囲は顔面全体、頸部全体といったある一定以上の領域のイボをすべて治療する場合の1個あたりの費用です。
ご指定されたイボを個別にレーザー治療したり、個数を限定して治療することはいたしません。
イボはウイルス性ですので、ある領域のイボはすべて治療する必要があるからです。

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