保険診療のご案内

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尋常性白斑

症状

皮膚の色がまだらに薄くなり(不完全脱色素斑)、やがて白いシミのようになっていきます(完全脱色素斑)。この白い状態を白斑といいます。かゆみ、痛みはありません。白斑は次第に拡大、増加、癒合していくことがあります。形や大きさが様々で、境界がはっきりしていて、辺縁の色が濃いことが特徴です。
尋常性白斑は、通称「しろなまず」とも呼ばれ、明らかな原因は不明です。
すべての年齢、乳幼児から高齢者まで見られる病気で、皮膚の色の抜ける「色素脱失異常症」の中では代表的なものです。
皮膚以外には影響しませんが、美容的に大きな問題となります。

病型

白斑の大きさや形などから、尋常性白斑は3タイプに分類されます。

1)限局型

狭い範囲に一つ、あるいは数個の白斑がある程度のものです。限局型の約10%が分節型に移行したという報告があります。

腰部の限局型の白斑

2)汎発型

尋常性白斑の半数以上を占めます。白斑は体幹と顔面にもっとも出現しやすく、次いで頚部、手、四肢に多くでます。顔面では前額部から髪の生え際付近にかけてと、目周囲、口周囲に好発します。ベルト圧迫部、腋窩(ワキ)、鎖骨部のような機械的な刺激を受けやすい部分にもできます。また、外傷を受けた部位にも出現します。日焼け、妊娠が増悪因子となります。

手の汎発型の白斑

3)分節型

皮膚の分節※に一致して出現し、通常は片側にできます。ごくまれに両側性にでることがあります。尋常性白斑の5~27.9%を占めるとされ、尋常性白斑のなかでも発症年齢が低く、白毛を伴いやすいのが特徴です。顔面に好発し、ほぼ半数が顔面に白斑を生じます。ほかの好発部位は体幹、頚部ですが、四肢にみられることもあります。通常は活動性がなくなると白斑の拡大は止まりますが、ごくまれに汎発型に進展することがあります。日焼け、外傷、妊娠などで増悪しない傾向にあります(5%程度が悪化)。
※皮膚の分節:脊髄神経の表在感覚の支配髄節部レベル。

原因

尋常性白斑は単一の疾患ではなく、多種の原因によっておこっている色素脱出症のあつまりと考えられます。症候群といってもよいと思います。その原因については様々な仮説が提唱されてきましたが、有力なものとして1)自己免疫説、2)色素細胞自己破壊説、3)神経説、4)生化学説があります。

1)自己免疫説

尋常性白斑には自己免疫疾患の合併が多くみられます。その中では甲状腺疾患が最も多く、甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症がみられます。その他、自己抗体性の悪性貧血、アジソン病、糖尿病、副甲状腺機能低下症、重症筋無力症、円形脱毛症が正常人より多くみられます。
このほか、尋常性白斑の治療にPUVA、ナローバンドUVBなどの紫外線治療、ステロイド内服治療といった免疫を抑制する治療が有効であることは尋常性白斑が自己免疫性疾患であることを示唆しています。

2)色素細胞自己破壊説

皮膚の色を構成するメラニンは皮膚の色素細胞(メラノサイト)で造られるわけですが、チロシンというアミノ酸から最終的にメラニンが生成される過程でたくさんの産生中間代謝物がつくられます。この産生中間代謝物は色素細胞にとって強い毒性をもっています。通常は色素細胞内でこれら産生中間代謝物を無毒化しているのですが、尋常性白斑の患者ではこの無毒化の過程に異変がおきていて、色素細胞自らが造る産生中間代謝物によって自己破壊しているという可能性があります。

3)神経説

精神的なストレスから尋常性白斑が出現すること、ウイルス性脳炎や多発性硬化症の神経疾患で白斑がみられること、分節型では神経の分布領域に白斑がみられることは神経の関与を示唆します。ストレスや疾患からの神経の異常によりカテコールアミンという物質が血液中に増加すると皮膚の血管の収縮がおこり、局所の活性酸素が増加して色素細胞を障害している可能性があります。

4)生化学説

活性酸素は日光暴露、外傷、ストレス、血流障害などで体内に発生するもので、からだには有害ですが、我々のからだは常にこの有害な活性酸素をさまざまな抗酸化作用をもつ物質で中和、不活化しています。尋常性白斑の皮膚ではこの抗酸化物質の量がなんらかの原因で低下していて、活性酸素による酸化ストレスで色素細胞が障害を受けているという説があります。

治療

1)ステロイド外用療法

限局型ではステロイド外用剤が第一選択となります。特に白斑の面積が体表の20%以下であれば、PUVA療法やナローバンドUVB療法を組み合わせるとよいといわれています。
汎発型ではステロイド外用剤単独での効果は高くはありません。第一選択はステロイド外用剤とPUVA療法かナローバンドUVB療法を組み合わせる治療となります。
分節型では初期にはステロイド外用剤が有効ですが、古い時間が経過した症状だと効果は期待できません。この場合ステロイド内服は効果がありますが、全身の副作用があり賛否両論あります。

2)紫外線療法

汎発型では紫外線療法が有効です。311~313ナノメートル(nm)の非常に幅の狭い波長(ナローバンド)の中波長紫外線のみを照射することができるナローバンドUVB治療では63%が有効とされています。幅広い波長の紫外線を照射するブロードバンドUVB治療では57%、内服PUVA療法では51%が有効という報告があります。
ブロードバンドUVB治療と内服PUVA療法では紫外線の発がん性が問題となりますが、ナローバンドUVBを治療に使うことによって、紫外線の害を最小限に抑えて、安全で高い治療効果を発揮することができます。ナローバンドUVBの治療経験が豊富な欧米と我が国における研究データでは、「治療による紫外線発がんの心配はない」ということになっています。安全な目安としては合計1000回照射、総照射量400 J/cm2(400 mJ/cm2で1000回照射分)となっています。また小児(10歳以上)や妊婦にも使用可能とされています。
※当院ではナローバンドUVB治療を健康保険適応でおこなっております。詳しくはナローバンドUVB療法をご覧ください。

ナローバンドUVB治療器
治癒過程の白斑。色素がまだら状に新生しています。

3)皮膚移植

分節型では吸引水泡形成法による表皮移植が有効で第一選択となります。このほか、点状皮膚移植や薄い分層皮膚移植も有効です。
現在、自己培養表皮の移植治療も研究されています。
※当院では皮膚移植治療はおこなっておりません。

4)そのほか

ビタミンD3外用剤(オキサロール軟膏)が有効という報告があり、とくに紫外線治療と併用するとよいといわれています。

5)化粧品の紹介

色素再生がどうしてもおこらない場合は、カバーマークなどのメーキャップ製品の使用があります。私はマーシュ・フィールド社の白斑用ファンデーションをすすめています。 白斑用ファンデーションのサイト http://lp.marsh-field.jp/hakuhan/

経過

尋常性白斑の治療で効果があれば、毛包一致性の色素再生がみられます。
また、治療を受けなくても色素再生がみられる場合があり、その頻度は10~50%の間であろうと推測されています。
治療をおこなった場合では面積で75%以上の色素再生がみられた場合を効果ありと判定すると、汎発型では紫外線治療により白斑患者の50%以上で色素再生がみられたという報告があります。定期的に照射した場合ほうが、不定期に照射するより効果が高いという報告になっています。
限局型では紫外線照射よりステロイド外用のほうが効果が勝っていたとする報告があり、体表面積の20%以下の白斑では55%の白斑患者で効果があったという報告があります。