保険診療のご案内

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更新日:2018.8.8/公開日:2017.3.7
このコンテンツは山手皮フ科クリニック 院長 豊福一朋が100%オリジナルで書いています。

脂漏性角化症(しろうせいかくしょう)

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)は手でさわると、わずかにもりあがったシミです。
普通のシミより日光によりダメージが強いシミで、通常のQスイッチレーザーのみで治療すると再発することがあります。
「シミを治療したけど、取れなかった」、「数年したらまた同じ場所にシミがでてきた。」といった場合、そのシミは脂漏性角化症であった可能性があります
脂漏性角化症は治療方法が通常のシミとは異なり、2種類のレーザーを使って治療します。

脂漏性角化症の症状

脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)(別名:老人性疣贅、老人性いぼ)は早ければ30歳代から、主には40歳以降に出現し、加齢とともに増える皮膚の良性腫瘍です。80歳以上ではほぼ全員にあり、皮膚の老化現象のひとつとされています。
別名、老人性疣贅、老人性いぼといいますが、通常のいぼ(尋常性疣贅)のようにウイルスが原因でおこるのではありません。したがって、人に移ることはありません。
脂漏性角化症は、顔面、頭部、前胸部、上背部などの日光露出部によくみられますが、脇の下、脇腹、腹部、鼡径部(股)、陰部、大腿(太もも)など日に当たらない部分にも発生します。掌蹠(手のひら、足の裏)にはできません。
色は褐色調から黒色です。大きさは直径数mmから2~3cmくらいで、ややもり上がっています。平坦に見えても拡大鏡で見るとわずかにもり上がっているのが特徴です。
通常は掻痒(かゆみ)や疼痛(痛み)はありませんが、たまにかゆみがあります。大きくなるときにかゆみが出ることがあります脂漏性角化症は自然に消えることはありませんし悪性化して癌になることもありません
脂漏性角化症が、全身に短期間に多数出現し、掻痒(かゆみ)を伴う場合はLeser-Trélat(レゼル-トレラ)兆候と呼ばれ、内臓に悪性腫瘍(癌)がある可能性があります。  

30歳台の女性のシミ(老人性色素斑):

平坦な単発のシミで老人性色素斑です。長年放置すると盛り上がってきて、脂漏性角化症になることがあります。 

40歳後半の女性のシミ: 

上眼瞼のシミはわずかにもり上がった脂漏性角化症、頬部のシミは平坦な老人性色素斑です。脂漏性角化症は老人性色素斑から移行したものでしょう。

50歳台男性の脂漏性角化症:

写真中央(右外眼角)のは、かなり盛り上がった典型的な脂漏性角化症です。左下のシミはわずかに隆起した初期の脂漏性角化症です。ほかに直径1~2mmの脂漏性角化症が顔全体に散在しています。

60歳台男性の脂漏性角化症:

顔全体に直径5mm前後の脂漏性角化症が多発しています。ゴルフが趣味で日焼け止めを使用していなったとのことでした。

60歳台男性の多発した脂漏性角化症:

直径10~20mmの脂漏性角化症が散在しています。野外スポーツをよくされていて、日焼け止めをつかっていなかったそうです。

脂漏性角化症の原因

顔、手足のシミは、長年日光にさらされることによって、日光に含まれる紫外線によって皮膚の表皮基底細胞の遺伝子に異常が起こったことが原因です。
異常がおこった表皮基底細胞は増殖して皮膚表面から盛り上がるようになり、表皮の色素細胞を刺激して大量のメラニンをつくらせて、濃い色の”シミ”になるわけです。
一般にいう”シミ”は”平坦なシミ”と”もり上がったシミ”に分けることができ、”平坦なシミ”は”老人性色素斑”、”もり上がったシミ”は”脂漏性角化症”です。
脂漏性角化症の一部は、老人性色素斑からもりあがって発生します。
脂漏性角化症は老人性色素斑よりも遺伝子異常が強くなっている表れなのです。
老人性色素斑、脂漏性角化症は野外でスポーツや仕事をしている人に多くみられます。
色白の女性で外出中に化粧や日焼け止め(サンスクリーン)を使わない人には、中年期以降に多発する傾向があります。
日焼けサロンに行く人は、とても若い時期(20歳前半)から老人性色素斑がでます。
20歳後半からはさらにすすんだ脂漏性角化症がでることがあります。
年齢が高くなると日光にさらされない脇の下、脇腹、腹部、鼡径部(股)、陰部などにも脂漏性角化症はできます。
加齢によって表皮の遺伝子に異常がおこってできたものと考えられます。
予防は顔、手足に関しては紫外線を避けることです。野外のクラブ活動、スポーツ、作業時にはサンスクリーンの使用は必須です。
顔、手足以外の日光にさらされない部位の予防法はありません。

脂漏性角化症の治療

液体窒素、電気メスでの切除、電気焼却、IPL(フォトフェイシャルなどの光治療)、炭酸ガスレーザー、Qスイッチ・レーザーなどが使われています。
イボ(疣贅)ではないので、漢方薬であるヨクイニンの内服は効果ありません。
また、市販のイボコロリ、皮膚科で処方されるオキサロール軟膏、トレチノインも効果がありません。
ドライアイスでの冷凍は脂漏性角化症の基底部(底の部分)まで凍らせることができないので効果がほとんどありません。
皮膚科以外の診療科ではハサミで切除することもあるそうですが(?)、これも基底部が残り再発します。
そもそもハサミで切除できないと思います。

1)液体窒素による冷凍凝固治療

皮膚科クリニックであれば、ほとんどのところでできる治療法です。
保険適応で安価です。
脂漏性角化症を冷凍凝固して異常な表皮細胞を破壊して除去します。
治療時と治療後に痛みがあります。
軽く冷凍すると再発、強く冷凍すると瘢痕が残るので経験が必要です。
治療部位には半年から2年程度、炎症後の色素沈着が残ります。
顔面の治療だとこの炎症後色素沈着が美容上の問題となります。

 2)電気メスでの切除、電気焼却

脂漏性角化症の組織を薄く表皮からはぎ取ったり、焼却する方法です。
浅く削ると再発、深くけずると瘢痕を残す危険性があります。
電気メス、電気焼却で治療している皮膚科が少ないのが実情です。

3)IPL(フォトフェイシャルなどの光治療)

強い光を照射すると、光が脂漏性角化症の黒色のメラニンに反応して熱を発生して細胞に損傷を与えます。
わずかに盛り上がった程度の脂漏性角化症は治療可能ですが、取れ残りが多い印象があります。
0.5mm以上盛り上がると効果がありません。
いったん消えても半年から1年程度で再発することも多く、治療効果は不十分です。

4)炭酸ガスレーザー

もり上がりの程度に関係なく脂漏性角化症をきれいに蒸散させることが可能です。
治療後の色素沈着が起こる期間は液体窒素での治療に比べ短く数ヶ月です。
ほとんどの脂漏性角化症は治療可能です。
脂漏性角化症は基底部(底の部分)の異常な表皮基底細胞まで取り除く必要がありますので、皮膚の深い部分まで細胞を蒸散させると、治療後に瘢痕が残る危険性があります。
基底部に細胞が残った場合は、数ヶ月から数年(長い場合5年)して再発することがあります。

5)Qスイッチ・レーザー

YAG(ヤグ)、アレキサンドライト、ルビーをつかったQスイッチ・レーザーは隆起の程度の軽い脂漏性角化症であれば、十分に治療できます。
色素のある部分を完全に除去することが可能で、治療後の傷が残らないのが最大の利点です。
YAG(ヤグ)、アレキサンドライト、ルビーそれぞれ特性がありますが、どれも治療効果は十分です。
隆起の程度が強い厚みのある脂漏性角化症は、表皮基底細胞が残ってしまい、治療が難しいことがあります。
基底部に細胞が残った場合は、数ヶ月から数年(長い場合5年)して再発することがあります。

脂漏性角化症再発例:

5年前にQスイッチ・レーザーのみで治療して、いったんは消失しました。4年後に再発、その後範囲が拡大して、このようになっています。脂漏性角化症はQスイッチ・レーザーのみでは再発の可能性があり、スキャナ付炭酸ガスレーザーと併用して治療するといいです。

6)スキャナ付き炭酸ガスレーザーとQスイッチ・レーザーを併用

炭酸ガスレーザーとQスイッチ・レーザーの双方の利点を利用して治療します。
厚みがあっても炭酸ガスレーザーで蒸散させて、基底部に残った脂漏性角化症の細胞をQスイッチ・レーザーで破壊することができます。
治療部が傷になる可能性は極めて低く、再発の確率はゼロの近いといえます。
炭酸ガスレーザーはスキャナ付きの機器を使うことで、よりいっそう、きれいに脂漏性角化症を消すことが可能です。

治療例

スキャナ付き炭酸ガスレーザー・コア(シネロン・キャンデラ社 日本国内承認機器)

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー・アレックスレーザー(シネロン・キャンデラ社 日本国内承認機器)

当院ではスキャナ付き炭酸ガスレーザーはシネロン・キャンデラ社製コアレーザー、とQスイッチ・アレキサンドライトレーザーはシネロン・キャンデラ社製ALEXレーザーを使います。
まずスキャナ付き炭酸ガスレーザーで、脂漏性角化症を一定の深さで浅くに削ったあと、残存した組織を、Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーで破壊します。

※スキャナ付き炭酸ガスレーザー

スキャナ付き炭酸ガスレーザーではカンナでけずったように正確に薄く削り取ることができます

薄い木材をスキャナ付き炭酸ガスレーザーで削ったところ、深さ、大きさが自由に変えられます。

治療の手順

頬部のわずかにもり上がった脂漏性角化症に局所麻酔の注射をおこないます。歯科治療で使う麻酔と同じです。

スキャナ付き炭酸ガスレーザーで浅く蒸散させます。照射時間1分。

表面には痂皮が薄く残ります。

濡れたガーゼで拭って痂皮を除去します。

基底部に残った脂漏性角化症の細胞をQスイッチ・アレキサンドライトレーザーで破壊します。照射時間1分。

脂漏性角化症の細胞をすべて除去した状態です。かかった時間は5分です。

創傷保護材を貼っておわりです。

2週間後までに傷はなおって、きれいなくすみのないピンク色の肌に戻ります。
レーザー照射で脂漏性角化症の部分は浅いやけどになっています。
やけどのあとに一過性に茶色くなるのと同じで、レーザー照射部にも炎症後の色素沈着が起こります。
照射後2ヶ月目が色素沈着のピークです。
色素沈着は徐々に薄くなり、3~6か月、長い人でも1年で消えていきます。
炎症後の色素沈着を早く消すには、トレチノインとハイドロキノンという美白外用剤を使います。

治療例

レーザー照射前
終了時

症例1:60歳後半の男性です。顔のシミの除去目的で来院されました。顔面すべてに脂漏性角化症(個数300個以上)が多発しています。1つ1つ局所麻酔の注射をすることは無理なので、局所麻酔剤含有クリームを顔全体に塗って、ラップして40分後に1つ1つにスキャナ付き炭酸ガスレーザーとQスイッチ・レーザーを照射しました。
治療回数1回、通院回数3回(治療時、2週間後経過観察、2か月後経過観察)。治療にかかった費用(全顔):¥219,240

レーザー照射前
終了時

症例2:60歳台女性です。鼻のシミの除去目的で来院されています。診断は鼻背の脂漏性角化症です。局所麻酔の注射のあとスキャナ付き炭酸ガスレーザーとQスイッチ・レーザーを照射しました。
治療回数1回、通院回数3回(治療時、2週間後経過観察、2か月後経過観察)。治療にかかった費用:¥35,640

レーザー照射前
終了時

症例3:50歳台の女性です。頬部のシミの除去目的で来院されています。シミはかなり盛り上がった脂漏性角化症です。このくらい盛り上がると、Qスイッチ・レーザーのみでは治療は無理です。また炭酸ガスレーザー単独では浅く蒸散させると再発率が高くなりますし、深く蒸散させると瘢痕を残します。局所麻酔の注射のあとスキャナ付き炭酸ガスレーザーとQスイッチ・レーザーを照射しました。
治療回数1回、通院回数3回(治療時、2週間後経過観察、2か月後経過観察)。治療にかかった費用:¥25,920

脂漏性角化症レーザー治療のながれ

初診

脂漏性角化症のレーザー治療を検討されている方は、お電話にてご予約ください
初診時には脂漏性角化症の数、分布を拝見し、治療希望の範囲を教えていただきます。 スライドをつかって治療の説明をおこないます。

治療

治療される数がすくない場合は、診察に引き続き治療することができます。
顔全体に脂漏性角化症がある場合などは、後日予約をおとりいただき治療となります。
顔全体に脂漏性角化症があり、遠方からお越しで、当日の治療を希望される場合は、予約の際にお申し出ください

痛み対策(麻酔)

脂漏性角化症が数個の場合
局所麻酔薬(キシロカイン注射液)を注射して麻酔します。
痛みに弱い方は、注射の前に麻酔クリームや麻酔テープで局所麻酔をおこないます。

治療する脂漏性角化症の数が多いとき
レーザー照射時に痛みがあるのはつらいものです。山手皮フ科クリニックではペインブロックという非常に効果の高い麻酔クリームを使用しています。
麻酔が効くまで約1時間お待ちいただきます。

脂漏性角化症の数が多い場合は照射部位に麻酔クリームを塗って、ラップで覆って麻酔します。

レーザー照射

レーザー照射前の脂漏性角化症

炭酸ガスレーザー照射中

レーザー照射直後

レーザー照射後

レーザー照射部には創傷保護剤を貼ります。

費用(税込み)

大きさ 価格(税込み)※1
直径5mm以下が1個(初回料金)※2 \5,400
直径5mmが1個 \10,800
直径5mmが4個 \32,400
直径10mmが1個  \32,400 
両側頬部に散在する場合(~100個程度) \108,000~\162,000
(密度・大きさで変わります)

顔面全体に散在する場合 (100~200個以上)※3

\162,000~\270,000※2
(密度・大きさで変わります)

※1 複数個の場合は長径×短径で算出した面積ので費用をお見積りいたします。
例)直径5mmの脂漏性角化症4個⇒\32,400
※2 初回限定の料金です。1個のみ。
※3 費用参考例:

顔面に多発する脂漏性角化症(全顔で約500か所) 費用(全顔)\270,000