レーザー治療機器

レーザー治療機器

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Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー

Qスイッチとは

Qスイッチとは「Quality Switching」の略で、強力なエネルギーを非常に短い時間(1千万分の1~1億分の1秒)で発振することができるレーザーの構造です。
メラニンを特異的に破壊することができます。

アレキサンドライトレーザー

アレキサンドライトとは宝石の名前です。ロシアウラル山脈のエメラルド鉱山で発見された金緑石(クリソベリル、BeAl2O4)の変種で昼の太陽光と夜の照明では色が違って見える性質があります。医療用には人工的につくられています。
このアレキサンドライトを使って、波長755nm(ナノメートル)の波長をもつレーザー波を発振させます。波長755nmのレーザーは黒色や褐色にメラニンに選択的に反応するのでシミ・ソバカス、太田母斑などの色素性疾患や医療レーザー脱毛に使われます。

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー

Qスイッチはアレキサンドライト、ルビー、ヤグレーザーと組みあわせることで、正常な組織にダメージを与えることなく、強い出力で選択的に色素性疾患を治療することが可能になります。アレキサンドライト、ルビー、ヤグレーザーの波長の違いでレーザーの皮膚への深達度が異なりますが、治療効果の差に違いはほとんどありません。
当院ではシネロン・キャンデラ社 Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー(ALEXレーザー)を使用しています。

シネロン・キャンデラ社
Qスイッチ・アレキサンドライトレーザー

主な治療対象疾患

シミ
老人性色素斑
脂漏性角化症
老人性黒子
光線性花弁状色素斑
ソバカス(雀卵斑)
真皮メラノサイトーシス
太田母斑
両側性太田母斑様色素斑
異所性蒙古斑
色素異常
扁平母斑
カフェ・オ・レ斑(Café-au-leit spot)
遺伝性対側性色素異常症
色素性母斑(ホクロ)

シミ・ソバカスの治療

シミ・ソバカスの発生メカニズム

シミの原因は紫外線による角化細胞の遺伝子異常です。
皮膚が紫外線に暴露されると、皮膚のメラニンが増えて黒くなります。これが日焼けです。
皮膚の大部分を占める角化細胞は紫外線に暴露されると、細胞核の中のDNAに多数の傷がつきます。このときに角化細胞はSOS信号として、 α-MSH(アルファ-メラノサイト刺激ホルモン)などの物質を作り、隣接したメラニン細胞(色素細胞)にメラニンをたくさんつくる指令を出します。このSOS信号とメラニン産生の指令をキャッチしたメラニン細胞はたくさんのメラニンをつくって角化細胞に輸送します。角化細胞はメラニン細胞から受け取ったメラニンを細胞核の上部(日光があたる側)に帽子のような構造であつめて、紫外線から細胞核を守ります。これをメラニンキャップといいます。日焼けは角化細胞が紫外線からダメージを軽くする自己防衛反応なのです。細胞核のDNAについた多数の傷はすべて修復されてもとに戻ります。

長年、紫外線に暴露されていると角化細胞の核には天文学的数字のDNAの傷ができます。ほぼすべてを修復していきますが、修復する上で小さな修復ミスがどうしても発生してしまいます。修復がうまくいかなかったDNAの蓄積で、中年期以降に一部の角化細胞の細胞核に修復できない遺伝子異常が起こります。異常となった角化細胞は紫外線暴露がなくても、SOS信号とメラニン産生の指令を出し続けます。メラニン細胞は絶え間なくメラニンをつくり続けるようになり、結果、大量のメラニンが角化細胞に供給されて色素の異常な沈着がおこり、シミとなります。
また色素細胞の遺伝子自身が変化することで過剰なメラニン産生がおこることもシミの原因となります。

平坦なシミの段階が老人性色素斑です。遺伝子異常がさらに蓄積してシミの部分の表皮が厚みをもったものは脂漏性角化症といい難治性のシミとして区別されます。
ソバカスの場合は、生まれつき遺伝子修復機能が弱く、異常角化細胞が若年で現れるので小学生くらいから色素斑が現われてきます。

メラニン細胞と角化細胞の関係
角化細胞はメラニン細胞よりメラニンの供給を受けています。
角化細胞が紫外線を浴びると、角化細胞はメラニン細胞へメラニンをたくさん作るように指令をだします。メラニン細胞でつくられたメラニンは角化細胞への輸送され、角化細胞の細胞核の上に集められ、メラニンキャップという帽子のような構造をつくり、細胞核が紫外線で傷つくのを防ぎま す。
メラニンキャップ:
褐色のメラニンが角化細胞の核の上に帽子のように集められています。
長年にわたり紫外線を浴びていると、角化細胞の細胞核には遺伝子変化がおこり、正常な機能をしなくなります。異常となった角化細胞は紫外線にあたっていなくても、メラニン産生を促す指令をメラニン細胞にへ送り続けます。過剰に産生されたメラニンは角化細胞へ輸送され、角化細胞は大量のメラニンを持つようになります。これがシミの状態です。

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーの作用原理

異常角化細胞の指令でメラニン細胞は大量のメラニンをつくるようになり、角化細胞に蓄積していきます。その結果、通常の皮膚より色が濃くなった部分がシミ・ソバカスです(下図)。

アレキサンドライトレーザーが出す波長755nmのレーザー波は黒色・褐色のメラニンに選択的に吸収されます。吸収されたレーザー波は瞬時に熱を発生して、メラニンは爆発し、周囲の細胞を壊します。Qスイッチレーザーでは出力を調整することで、正常の皮膚にはダメージを与えずに、シミ・ソバカスの色の濃い部分のみの角化細胞とメラニン細胞選択的に破壊することができます(下図)。

アレキサンドライトレーザーにより熱傷が起こった皮膚は再生されます。異常角化細胞はすべて破壊され、正常な角化細胞が再生して、正常な皮膚となり、シミ・ソバカスはなくなります(下図)。

こめかみにできたシミ(老人性角化症)
レーザー照射直後
治療終了後

太田母斑など真皮メラノサイトーシスの治療

太田母斑とは

太田母斑とは多くは生後まもなく発症する三叉神経第1,2枝の支配領域にみられる褐青色斑です。遅発性は20~40歳で発症します。両側性のものは遅発性両側性太田母斑様色素斑とよばれます。大田母斑、遅発性両側性太田母斑様色素斑ともに原因は不明です。 発症のメカニズムは、生まれたときにすでに皮膚の真皮内に活性化していない異常な色素細胞(真皮メラノサイト)が存在し、ある年齢になると日光やホルモンなどの影響で活性化されて、メラニンを産生しはじめ、皮膚の色がついて症状が現れると考えられています。

典型的な太田母斑

太田母斑の病理

ふつうは真皮にはメラニン細胞は存在しません。大田母斑の皮膚では、真皮にメラニンをつくっている異常な色素細胞(真皮メラノサイト)がみられます。真皮メラノサイトがつくるメラニンが太田母斑の色をつくっています(下図)。

太田母斑の病理組織写真
真皮に真皮メラノサイトが存在してメラニンを産生しています(赤矢印)。

Qスイッチ・アレキサンドライトレーザーの作用原理

アレキサンドライトレーザーが出す波長755nmのレーザー波はメラニンが少ない正常表皮にほとんどダメージを与えることなく通過し、真皮メラノサイトに含まれる大量のメラニンに選択的に吸収されます。吸収されたレーザー波は瞬時に熱を発生して、メラニンは爆発し、真皮メラノサイトを壊します(下図)。 両側性太田母斑様色素斑、異所性蒙古斑も同じメカニズムで真皮メラノサイトを破壊して治療します。

そのほかの色素性疾患の治療

光線性花弁状色素斑

背中や肩、四肢など日焼けしやすい部分に出現する花びらが散りばめられたようなシミです。花びらのような形状から花弁状という名がついています。
年齢は20~30代の特に色白の人にできやすい傾向があります。長年による日焼けではなく、ある時「強烈な紫外線を一気に浴びた」ことによって、日焼けから数か月して出現します。
Qスイッチレーザーで治療できます。脱毛に使用するロングパルス・アレキサンドライトレーザーも効果があります。

下腿の光線性花弁状色素斑 海外での1回の強い日焼けのあとに出現しています。

扁平母斑

Qスイッチレーザーで効果があるのは33%(3人に1人)といわれています。また、同じ部位に繰り返し照射することで3回照射で約30%、6回照射で約60%の人に効果があったという報告があります。当院の経験では繰り返し照射することで薄くなっていく方が多くみられます。

均一は褐色調の扁平母斑
うすい茶色のあざの中に直径1mm程度の小さな褐色点が混在する扁平母斑

口唇のホクロ・シミ・ソバカス

Qスイッチレーザーはメラニン褐色や黒色に選択的に吸収されて、口唇のホクロやシミ・ソバカスは一瞬で熱破壊されます。ピンク色の口唇粘膜には影響を及ぼしません。 1回の治療で色が消えることがほとんどですが、まれに2回目の照射が必要です。

治療前
治療後

口唇のホクロ・シミ・ソバカス

色調が薄く平坦で、直径が2mm以下のほくろはQスイッチレーザーで黒~黒褐色の色を消すことができます。

治療前
治療後