保険診療のご案内

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尋常性乾癬の治療

乾癬とは

治療について

乾癬の種類

乾癬とは

乾癬(かんせん)は「炎症性角化症」という皮膚の病気に分類されます。皮膚から少し盛り上がった赤い発疹の上に、銀白色の鱗屑(りんせつ)が付着して、ポロポロとフケのように剥がれ落ちます。好発部位は頭、四肢(腕、脚)の伸側、腰部、臀部など皮膚のこすれやすい部分ですが、爪などを含め全身のどこにでも起こりえます。

乾癬は日本人の人口のおよそ0.1%に発症すると推定されています。昔はまれな病気でしたが、近年の生活習慣(食生活の西洋化など)の変化や、ストレスの増加など、さまざまな要因から患者数は徐々に増加しています。白人では患者数はずっと多く、人口の2~3%といわれています。

乾癬の原因はまだ完全にはわかっていませんが、乾癬になりやすい遺伝的素因があることはわかっています。遺伝的素因に様々な環境因子(不規則な生活や食事、ストレス、肥満、感染症、特殊な薬剤など)が加わると発症するといわれています。

治療について

軽症例:外用療法のみで治療します。

中等症~重症例:外用療法に加え、光線療法(ナローバンドUVB治療など)、内服療法(シクロスポリン、レチノイド、メトトレキセート)、生物学的製剤などの全身療法が併用されます。

1)外用療法

主にステロイドと活性型ビタミンD3(VD3)があります。これらを組み合わせることによって、副作用が少なく高い治療効果が得られます。

●ステロイド外用剤

ステロイドは効果発現が早いのですが、長期にわたって外用すると皮膚がうすくなったりするため、いったんよくなったら活性型ビタミンD3(VD3)へ移行します。
症状の強い時は”strongest”クラスの強いステロイド外用剤を使用して、よくなるに従い、強さのランクを“very strong”、 “strong”と弱くしていきます。

*乾癬の治療では外用剤を1日2回外用することが大切ですが、外用剤のべたつき、塗布に時間がかかるということで、外用が不十分なことがあります。その場合、軟膏基剤(下図左)よりローション剤(下図右)の方が塗りやすいといわれています。
また、ローション剤は夏期に冷蔵庫で冷やしてから使用するなど、塗り心地をよくする工夫も可能です。

●活性型ビタミンD3(VD3)外用剤

活性型ビタミンD3(VD3)は効果発現は遅いのですが、長期外用により副作用が少ないので、ステロイドを外用していったんよくなってからの寛解維持期の治療に向いています。
マキサカルシトール(オキサロール)、タカシトール(ボンアルファ、ボンアルファハイ)、カルシポトリオール(ドボネックス)、の3種類があります。

*乾癬に対する活性型ビタミンD3(VD3)軟膏のローテーション療法

長期にわたる活性型ビタミンD3(VD3)外用療法では時間の経過とともに効果が低下する方がいらっしゃいます。この場合ボンアルファあるいはオキサロール→ドボネックス、ドボネックス→ボンアルファあるいはオキサロールというように使用する薬剤をローテーションすることによって、効果を出し続けることができます。

●ステロイドと活性型ビタミンD3(VD3)の配合外用剤

1日1回の塗布でステロイドと活性型ビタミンD3(VD3)の双方を外用する手間がはぶけます。
症状が強い時期から使うことができ、よくなってからの寛解維持期には活性型ビタミンD3(VD3)単剤に変更します。

●タクロリムス軟膏(プロトピック軟膏)

顔面や間擦部(ワキ、ソケイ部)などの皮膚の薄い部分の治療に適しています。皮膚の薄い部分では、ステロイドの吸収が良いため、外用を続けると皮膚がうすくなったりするなどの副作用が出やすいのですが、タクロリムス軟膏はそのような副作用がありません。

*シークエンシャル療法

朝はステロイド外用薬、夜は活性型ビタミンD3(VD3)外用薬と、1日のうちで両剤を塗り分け、症状の軽快に伴って、週末にステロイド外用薬、平日に活性型ビタミンD3(VD3)外用薬など、徐々に活性型ビタミンD3(VD3)外用薬の塗布割合を増やし、寛解維持期では活性型ビタミンD3(VD3)外用薬単剤のみでのコントロールを目指します。

治療はやや複雑になりますが、ステロイドの長期使用による副作用の軽減になります。

2)光線療法

●ナローバンドUVB治療

乾癬治療には紫外線(UV)の照射が効果があり、長い間使われてきました。
紫外線の中でも中波長紫外線(UVB, 波長域290-315nm)は乾癬に特に効果がありますが、日焼けするなどの問題点があります。

ナローバンドUVBは、このUVBの中の非常に幅の狭い波長(311±2nm)の紫外線です。このナローバンドUVBを治療に使うことによって、日焼けを最小限に抑えて、高い治療効果を発揮することができます。

当院では米国Daavlin社製の三面鏡型を使用しています。立位のまま半身ずつの治療ができます。
原則として週に2~3回の通院が必要ですが、やむを得ない場合は週1回の通院で行います。照射時間は通常1~2分、長くて数分です。

費用は保険適応で、皮膚科光線療法(中波長紫外線)340点 自己負担は3割の方で1,020円、1割の方で340円となります。

3)全身療法

※シクロスポリン、レチノイド、メトトレキセート、生物的製剤による治療は当院では行っておりません。

●シクロスポリン(ネオラール)
乾癬の発症や悪化の原因の1つに免疫作用の過剰な働きがあげられます。シクロスポリンは過剰な免疫作用を抑えるお薬です。主な副作用として血圧上昇、多毛、腎機能障害などが報告されており、定期的な血圧測定と血液検査が必要です。

●レチノイド(チガソン)
ビタミンAの誘導体で、表皮の過剰な増殖を抑えます。胎児に影響を与えるおそれがあるため、服用中だけでなく服用中止後も、男性は6ヵ月、女性は2年の避妊が必要です。

●メトトレキセート(リウマトレックス)
乾癬には保険適応外であるが、難治性乾癬、特に関節症性乾癬に用いられます。長期使用では肝機能障害が問題になります。

●生物的製剤
免疫に関わる物質の働きを弱めて乾癖の症状を抑えるお薬です。現在、皮下注射と点滴の2種類があります。なお、生物学的製剤による治療は、これまでの治療で効果が見られない患者さんが主な対象となります。以下の製剤があります。

  • アダリムマブ(ヒュミラ)
  • インフリキシマブ(レミケード)
  • ウステキヌマブ(ステラーラ)

生物学的製剤による治療を行うと免疫が抑えられるため、感染症にかかりやすくなる可能性があります。主な副作用は、のどの痛みや咳、悪寒・発熱などのかぜ症状、発疹やかゆみなどのアレルギー症状、疲れやすい、体がだるいなどです。

乾癬の種類

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)
乾癬の約90%を占めます。頭部、肘、膝など、こすれやすい部分や刺激を受けやすい部分によく見られ、全身の広がることがあります。約60%の患者さんには爪にも症状が見られます。

滴状乾癬(てきじょうかんせん)
小さな水滴程度の大きさの皮疹が全身に出現します。鼻、のど、歯など身体のどこかに細菌の感染病巣が存在し、それが悪化する時に起こることがあります。とくに扁桃腺炎がきっかけになることが多いです。

乾癬性紅皮症(かんせんせいこうひしょう)
尋常性乾癬が全身の広がり、皮膚全体が赤みを帯びます。

膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)
発熱、倦怠感を伴い、急激に全身の皮膚が紅くなり、膿疱が多発します。放置すると、全身衰弱などにより重篤な状態になることがあります。乾癬の病型の中に、発熱、全身倦怠感をともない全身の皮膚に潮紅と膿疱が多発するものがあり汎発性膿疱性乾癬とよばれます。このタイプの乾癬は重症で、炎症症状が強く尋常性乾癬と病像が相当異なり入院治療を要します。乾癬の中ではまれな病型で1%程度を占めます。

関節症性乾癬(かんせつしょうせいかんせん)
乾癬ともっている患者さんの10%に関節症状があるといわれています。皮膚症状に加えて、関節リウマチにように関節がはれたり、痛んだりします。