公開日:2024.5.06
こちらのコンテンツは、院長の豊福一朋が自身のこれまでの研究ならびに経験、関連書籍、学術報告などをもとに独自に作成したものです。将来において当院における治療方法、治療後の処置、使用機器、治療の流れなどについて内容が変更となる可能性があります。院長の経歴はこちらをご覧ください。
眼瞼黄色腫
眼瞼黄色腫は、上下まぶたの内側部(目頭側)にできる黄色の扁平な良性腫瘍です。黄色腫の本体は、脂質を多量に取り込んだ泡沫細胞が真皮内に浸潤したものです。
Ⅱ、Ⅲ型の脂質異常症(高脂血症)がある人にでることがありますが、半数では脂質異常症(高脂血症)がないといわれています。
脂質低下薬であるプロブコールの内服が有効とされていますが、現在は販売中止になっています。
自然治癒は期待できません。
※脂質異常症
IIa型脂質異常症 : 家族性高コレステロール血症の家系に多い。コレステロールが高く、VLDLやトリグリセライド(中性脂肪) は正常に近い。
IIb 型脂質異常症 : 家族性高コレステロール血症の家系に多い。コレステロールが高く、VLDLやトリグリセライド(中性脂肪)も正常より高い。
III型脂質異常症 : 遺伝によって血液に含まれるコレステロールとトリグリセライド(中性脂肪)が高くなる非常に稀な脂質異常症(高脂血症)。VLDLが高くLDLがほとんどない。
眼瞼黄色腫の治療
眼瞼黄色腫の外科的治療は、メスで切除し瞼の皮膚を縫い合わせる方法と炭酸ガスレーザーで蒸散する(焼灼する)方法があります。
当院では炭酸ガスレーザーを用いて眼瞼黄色腫の治療を行っております。
眼瞼黄色腫の除去治療はどの治療法を選択しても必ず治療痕が残ります。
黄色腫は一度除去してしまえば二度とできないというものではなく、再発の可能性があり確実な予防法はありません。
脂質異常症(高脂血症)がある方は内科的治療が必要です。
内科治療
脂質異常症(高脂血症)があれば、内科にて治療をおこないます。
内科治療は当院ではおこなっていません。近医にご相談ください。
レーザー治療
脂質異常症(高脂血症)がない場合、内科の治療でよくならない場合、レーザー治療が可能です。
当院での眼瞼黄色腫の治療は炭酸レーザーよるスキャナ付き炭酸ガスレーザーのよる治療をおこないます。
すべて自費診療です。初診を含め保険診療ではありません。
スキャナ付き炭酸ガスレーザー
当院ではスキャナ付き炭酸ガスレーザー コア(シネロン・キャンデラ社)を使用します。
スキャナ付き炭酸ガスレーザーのメリット
眼瞼黄色腫の治療でのスキャナ付き炭酸ガスレーザーのメリットは下のとおりです。
- 手振れがすくない:「スキャナ付き」とは、コンピューターの制御により、一瞬にして治療部位の組織を蒸散するので、手振れがおこりません。
- 平坦な治療面がつくれる。コンピューターの制御により、カンナでけずったような平坦な組織の蒸散面がつくれます。
- さまざまな大きさと形での治療が可能。通常の治療では円形、正方形で治療をおこないます。黄色腫の形、大きさによって使い分けることができます。
- 治療時間が短い。治療にかかる時間が短いということは、組織に与える熱ダメージが少ないことになります。組織にあたえるダメージが小さいほど傷ははやく、きれいに治ります。
これらのメリットは眼瞼黄色腫の治療跡をよくするのに役立ちます。
スキャナ付き炭酸ガスレーザーと通常型炭酸ガスレーザーの比較
当院には3台の炭酸ガスレーザーがあります。1台はスーパーパルスモード付き炭酸ガスレーザーです。これは一般に普及しているので、ここでは通常型炭酸ガスレーザーといっています。
2台はスキャナ付き炭酸ガスレーザーです。この2台はシネロンキャンデラ社が開発した、いろいろな機能がついている優れた炭酸ガスレーザーです。
この2種類の治療方法の違いをこれから、写真と動画でご説明します。
スキャナ付き炭酸ガスレーザーと通常型炭酸ガスレーザーの比較(動画)
スキャナ付き炭酸ガスレーザーと通常型炭酸ガスレーザーを使って木製の板の表面を蒸散させる様子を動画にしたものです。
治療のスピード、蒸散面の凹凸をご覧ください。
スキャナ付き炭酸ガスレーザーでの蒸散面のバリエーション
大きな眼瞼黄色腫の治療も可能
大きい眼瞼黄色腫の治療は簡単ではありません。
炭酸ガスレーザーレーザーで大きな面積を一度の蒸散させると治療部位の瘢痕が目立つ可能性が高くなります。
このような時にスキャナ付き炭酸ガスレーザーは便利です。
大きな眼瞼黄色腫の場合、下の図のようにスキャナ付き炭酸ガスレーザーで丸と四角を組み合わせて、あえて隙間をつくり黄色腫の組織を蒸散させます。
一つ一つの治療部位は小さいので治癒速度が速く、きれいに上皮化します。
下の図はすべての黄色腫を1回の治療ですべて蒸散させた場合(左)と隙間をあけて治療した場合(右)の治療経過のイラストです。ともにスキャナ付き炭酸ガスレーザーを使用した場合です。
左)すべての黄色腫を1回の治療ですべて蒸散させた場合:
赤い部分は黄色腫のすべてを1回の治療ですべて蒸散させたことを示しています。この場合、治療部位の皮膚新生(肌色の部分)は周囲の正常な皮膚からおこります。治療面積が大きい場合、中心部の上皮化は最後になります。通常は2週間ほどで治療部位は上皮化しますが、上皮化が遅くなると中心部が瘢痕になる場合があります。
右)隙間をあけて治療した場合:
このイラストでは隙間を残して治療しています。小さい丸、四角の形を組み合わせて、未治療部位を約15%ほど残しています。一つ一つの治療部位の周囲には正常皮膚(実際は表皮の基底細胞)が残り上皮化が始まります。この方法だと皮膚が出来上がるまでの時間が短くなり、瘢痕ができる可能性が少なくなります。
この方法の欠点は黄色腫が残るので2回目の治療が必要なことです。残った黄色腫は半年以上待ってから残った黄色腫を治療します。
1回の治療で黄色腫が残っても、めだたなくなった場合は終了してもよいと思います。実際、そのような方は多いです。
治療例
料金
- 眼瞼黄色腫の大きさにより料金が異なります。治療当日の計測値にてレーザー料金は確定します。実際の治療費は治療当日の治療料金が適用となります。
- 長径10mm以上の眼瞼黄色腫の除去をご希望の場合は、見積りで料金をご案内します。
- 「大きな眼瞼黄色腫」や「眼瞼黄色腫が皮膚の深くまで存在している場合」は、治療を2回に分けて行うことがあります。この場合、治療毎に眼瞼黄色腫の長径に応じた治療費用がかかります。
料金詳細はこちらをご覧ください。↓
治療のながれ
予約
- 予約の受付、変更、前日までのキャンセルは予約サイトからのみ承ります。
- ご予約の変更・キャンセルは予約日の前日までに予約サイトから手続きを行ってください。
「予約サイト」へいき、選択メニューボタン
から 「眼瞼黄色腫」のご相談 を選択ください。
①治療前確認事項
以下の1)~7)に該当する方は、事前に医師にお申し出ください。
8)~10)に該当する方は、治療をお受けいただけません。同意書の提出をもって、該当しないことの申告となります。
1)以前に注射麻酔を受けて気分が悪くなった、2)既往症に高血圧・不整脈・糖尿病・B型C型肝炎がある、3)消毒液にかぶれたことがある、4)鎮痛剤・抗生剤にアレルギーがある、5)血液抗凝固剤内服中(パナルジン・アスピリンなど)、6) 免疫機能に異常を有する既往歴がある又は免疫抑制療法を受けている7)授乳中の方、8)妊娠中の方、9)過去の手術痕、ニキビ痕、傷痕、ピアスの穴が固く盛り上がる(肥厚性瘢痕、ケロイド)体質の方、10)イソトレチノイン内服治療を受けている方、及びイソトレチノイン内服終了後30日を経過していない方
②治療
- 前処置:治療をする瞼のお化粧や日焼け止めを落とします。治療当日は瞼にお化粧をせずにご来院ください。
- 麻酔:キシロカイン入注射麻酔(局所麻酔)を使用します。注射麻酔の穿刺時と注入時に痛みがありますが、レーザー照射による痛みは完全になくなります。注射麻酔を使用せずに眼瞼黄色腫のレーザー治療はできません。
- レーザー照射:炭酸ガスレーザーを使用します。レーザー照射に要する時間は5~10分程度です。
- 照射後の処置:創傷保護剤ビジダームまたは抗生剤軟膏と絆創膏で創部を保護します。
③治療後
- 消炎鎮痛剤を3日間内服します。
- 創傷保護剤で創部を3週間保護します。通常は治療後からドレッシング材のビジダームを使用します。創が深く、治療後の出血が予想されるときは、始めの1週間は抗生剤軟膏塗布後に絆創膏で保護し、その後の2週間はビジダームを貼付します。
- ビジダームまたは絆創膏貼付中は治療箇所へのお化粧はできません。
- 1週間後に経過診察があります。経過診察には自費診察料がかかります。
注意事項
- 治療当日の飲酒・運動・入浴はお控えください。シャワー浴と洗顔は治療後当日から可能です。
- これまでに既往がなくても、体質、治療部位によっては治療痕が盛り上がる(肥厚性瘢痕、ケロイドになる)可能性があります。
- 肥厚性瘢痕、ケロイドが生じた場合は、ステロイドの注射または貼付剤にて治療を行います。
- レーザー治療は人為的に熱傷を生じさせ治療対象を破壊または変性させるものであるため、治療後には発赤、灼熱感、痛み、痒み、水疱、炎症後色素沈着などの症状が見られる可能性があります。
- レーザー治療後に炎症後色素沈着が生じた場合、消退までに通常3か月~6か月程度を要します。長い方は12か月程度を要する場合があります。
- レーザー治療後の皮膚の創傷治癒過程に伴う発赤は炎症後紅斑といい6か月~18か月程度続く場合があります。
- 治療後にレーザー治療箇所の異常な(赤み・腫れ・痒み・痛み)や、ご心配なことがある場合は速やかにご連絡いただき受診をしてください。ご自身での自己判断で異常発生より1週間以上放置された場合、適切な処置が行えず対応できなくなる場合があります。
- 治療における患者様の効果に対する期待は様々です。さらに治療における患者様の皮膚の反応も様々です。医療には多くの不確実、不確定の要素が含まれており、医療行為に確実性はありません。したがって、治療に際してはこの点をご理解いただき、治療前の患者様の期待に対してご満足いただけない場合でも、既に実施された治療費の返金はいたしておりませんので予めご了承ください。
- 料金、治療方法、治療後の処置は、将来において変更となる場合があります。
- 説明同意書交付後に治療方法、治療後の処置に変更が生じた場合は、改めて新しい説明同意書への署名と提出をお願いいたします。
- 初診(初回相談)または最終治療のいずれか直近の日付から1年を経過した後、治療開始または治療再開をご希望の場合は、初診から治療開始または治療再開となります。
スキャナ付炭酸ガスレーザーによる眼瞼黄色腫治療の概要
診療区分 | 自由診療 | ||||||||||||
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照射出力等 | 0.5~4J/c㎡ | ||||||||||||
治療期間及び回数 |
基本的に1~2回 | ||||||||||||
施術によるリスク・副作用 | 局所麻酔使用時の注射針穿刺および局所麻酔薬注入による疼痛、迷走神経反射症状(血圧低下、気分不快、動機など)、 内出血。治療箇所の発赤、灼熱感、痛み、痒み、水疱、炎症後色素沈着、色素脱失、瘢痕、脱毛。 |
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施術に要する費用 |
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承認区分 | スキャナ付炭酸ガスレーザー・コアは国内承認機器です。 |
注)治療には、国内未承認医薬品または医療機器を用いた施術が含まれます。
治療に用いる医薬品および機器は当院の医師の判断の元、個人輸入の続きをおこなったものです。
個人輸入において注意すべき医薬品等についてはこちらをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1.html