1. はじめに
山手皮膚科クリニックでは,一人一人のご利用者様にご満足いただける医療サービスを提供できるよう、日々の業務に取り組んでおります。 そのために、ご利用者様から頂く様々なご意見を謙虚に受け止め、改善に向けた努力を重ねてまいる所存です。 一方で、質の高い医療サービスを提供するためには、職員が心身共に健康で安心して働ける環境を整えることも大切であると考えております。 万が一ご利用者様から社会通念上相当な範囲を超えた要求や言動があった場合は、本方針に沿って毅然と対応いたします。
2. カスタマーハラスメントの定義
厚生労働省作成の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に基づき、次の二つの観点から該当性を判断します。 (1)ご利用者様からのご指摘・クレーム・言動のうち、当該ご指摘・クレーム・言動の要求内容の妥当性が認められるか (2)その妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものでないか
3. カスタマーハラスメントと考える行為の例
(1)身体的・精神的な攻撃
- 腕をつかむ、殴る、蹴る、物を投げつける等の暴力行為
- セクシュアルハラスメントに該当する言動
- 侮辱的な発言や差別的な発言等、人格否定につながる行為
- にらみつける、立ちはだかる等の威圧的な行為
(2) 威圧的・脅迫的な言動
- 恫喝、罵声、暴言、土下座の要求等の言動
- マスコミやSNS等への暴露や反社会的勢力とのつながりをほのめかした脅し
(3)プライバシー侵害・名誉毀損にあたる言動
- 職員のプライバシーを侵害する行為
- 職員を無断で撮影、録画、録音する行為
- SNS等への当院や職員の信用を毀損させる内容の投稿
(4) 継続的・執拗な言動
- 要求の過度な繰り返しや、度重なる電話やメール等での連絡
- 何度も同じ説明をさせるなど業務に支障を及ぼす行為
(5) 拘束的な言動
- 一方的な主張等で電話や対面での長時間(20分以上)の拘束
- 施設からの不退去や不当な居座り
(6)正当な理由のない要求等・その他の不適切な言動
- 正当な理由のない商品やサービス、金銭、特別扱いの要求
- 正当な理由のない謝罪の要求
- 正当な理由なくご利用者様の自宅等への訪問や業務時間外の対応を求める行為
- 医療に支障をきたす迷惑行為(院内機器の無断使用・持ち出し・器物破損、院内での飲酒・喫煙・無断外出 など)
※上記の例に限りません。また、当院の職員がお取引先等に対しておこなう行為も含みます。
4. カスタマーハラスメントへの対応について
- 境界線の明確化:不当な要求・言動には、根拠と限界を明確に示します。
- エスカレーション:一次対応で収まらない場合、速やかに上長/責任者が対応します。
- 診療の中止・退去要請:安全が脅かされる場合は対応を中止し、退去を求めます。
- 警察・弁護士との連携:悪質な場合は所轄警察・弁護士へ相談・通報します。
- 受診制限等:継続的・重大な行為には、警告/一定期間の予約制限/来院お断りなどの措置を講じます。
- 記録・証拠保全:日時・場所・発言・状況・対応者を速やかに記録します。
- 個人情報保護:記録は目的外利用せず、所定期間で適切に保管・廃棄します。
5.対応フロー(標準)
レベル1|不快・軽度 受付・担当が事実確認→丁寧な説明・代替案提示→注意喚起 レベル2|繰り返し・中等度 上長へ引継ぎ→境界線の再提示→「次回は受診制限等あり得る」旨を口頭警告→記録 レベル3|重大・即時性 責任者(院長等)が対応→対応中止・退去要請→必要に応じ110通報→書面警告・受診制限 レベル4|緊急・犯罪疑い 直ちに安全確保(職員複数名同行・隔離)→110通報→診療停止→弁護士連携→被害届等検討
6.受診制限・診療契約の取り扱い
- 措置の種類:①口頭警告 ②書面警告 ③一定期間の予約制限(例:Web予約不可・電話のみ) ④同伴者同席のお願い ⑤来院お断り(最終措置)
- 適用基準:行為の重大性・継続性・再発リスク・他の利用者への影響・職員の安全を総合評価
- 実施方法:院長決裁/記録保存/必要に応じて地域の他医療機関・自治体相談窓口の情報提供。緊急性がある診療は一次救急等に誘導
7.院内での録音・撮影の取扱い
- ご利用者様および他の方のプライバシー保護・安全確保のため、院内での無断の録音・録画・撮影はご遠慮ください。必要時は職員が方法をご案内します。
- 無断での録音・録画・撮影は、不適切な言動の例に該当します。
8.SNS・口コミ対応方針
- 個別の診療内容・個人情報に関わるやりとりは公開の場では行いません。
- 事実と異なる投稿や誹謗中傷には、ログ保存→プラットフォーム通報→弁護士相談の順で対応します。
- 定型返信例:「ご不快な思いをおかけし申し訳ございません。個別内容はプライバシー保護のため公開の場ではお答えできません。お手数ですが[公式連絡先]までご連絡ください。」
9.職員の安全・健康配慮
- インシデント後の上長面談・勤務配慮・カウンセリング案内
- 医療安全ミーティングでの振り返り・再発防止策の共有
- 産業保健・労災等が該当する場合は所定手続を実施
10.記録・証拠保全
- 記録票に、日時/場所/相手/言動/対応者/エスカレーション/結果を記載
- 防犯カメラ映像・通話録音・メール原本・スクリーンショット等の保存(保存期間・アクセス権限を規程化)
- 個人情報保護法・院内規程に即した保管/廃棄
11.教育・周知
- 年1回以上の研修(境界線の示し方、トークスクリプト、通報手順、記録訓練)
- 新人オリエンテーションでの必修化
- 院内掲示・ウェブサイトでの対外周知(下記掲示文案)
12.関連法令等(例示・要点)
- 刑法上の脅迫・暴行・傷害・侮辱・名誉毀損・業務妨害、都道府県暴力団排除条例
- 個人情報保護法、医療法・医師法の趣旨(医療の適正提供・守秘)
※具体的な適用・手続きは事案ごとに専門家へ相談します。
13.改定
社会状況・法令・ガイドラインの変更等に応じて、少なくとも年1回見直します。
制定日:2025年10月1日