脂漏性角化症(老人性イボ)とは|原因・見分け方・治療・費用
顔や頭、体にできた、褐色〜黒色でわずかに盛り上がったシミ。シミ取りレーザーで消えなかった、いったん消えても同じ場所に再発した——そのシミは脂漏性角化症かもしれません。まず何のシミかを見極めたうえで、診察に基づく当院の治療をご案内します。
このページの要点
- 向いている方
- 顔・頭・体に、褐色〜黒色でわずかに盛り上がったシミがある方
- 「老人性イボ」と言われた方
- シミ取りレーザーで消えなかった、または同じ場所に再発した方
- 脂漏性角化症の本体
- ウイルス性のイボではなく、紫外線による皮膚の老化で生じる、盛り上がった皮膚の良性腫瘍
- 当院の基本治療
- スキャナ付き炭酸ガスレーザー「コア」で蒸散し、ピコ秒アレキサンドライトレーザー「ピコシュアプロ」で残存細胞を破壊する2段階治療
- 費用(税込)
- 初診料3,300円/再相談(2回目以降)1,650円/個別治療 長径4㎜未満1個 8,800円〜(大きさ・個数で変動)/顔全体治療 132,000円〜550,000円
- 受診の流れ
- 初診は撮影・診察・カウンセリング(当日治療なし、治療は後日予約)。個別治療は1回の見積り・治療で10箇所まで
- 主なリスク
- 照射部位の炎症、痂皮・びらん(上皮化まで約2週間)、一過性の炎症後色素沈着(通常6か月〜1年半で消失)
- 当院の姿勢
- 当日治療は行わず、まず何のシミかを医師が見極めてから治療を選びます。治療箇所は患者様ご自身に決めていただきます。
脂漏性角化症(老人性イボ)とは何ですか?
脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)は、主に40歳以降に顔・頭・体幹に現れる、褐色〜黒色でわずかに盛り上がった皮膚の良性腫瘍です。80歳以上ではほぼ全員にみられ、皮膚老化のひとつとされます。名前に「イボ」とつきますが、ウイルス性のイボ(尋常性疣贅)とは異なり、人にうつることはありません。
別名を老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)、老人性イボといいます。早ければ20代後半から現れ、加齢とともに数を増します。色は褐色から黒色、大きさは直径数mmから2〜3cm程度で、平坦に見えても拡大鏡で見るとわずかに隆起しているのが特徴です。一般的な特徴は次のとおりです。
- 褐色〜黒色で、わずかに盛り上がっている(拡大鏡で隆起が分かる)
- 顔・頭・デコルテ・背中の肩のあたりなど、日光が当たりやすい部位に好発する
- 脇・腹・背中など日光が当たらない部位にもできるが、手のひら・足の裏にはできない
- 通常はかゆみ・痛みがなく、自然に消えることはない。悪性化(癌化)もしない
脂漏性角化症が全身に数か月といった短期間で急に多数現れ、かゆみを伴う場合は、Leser-Trélat(レーザートレラ)徴候として内臓に悪性腫瘍が隠れている可能性があります。この場合は皮膚科での診察が必要です。
脂漏性角化症の原因は何ですか?
主な原因は長年の紫外線です。紫外線によって表皮の基底細胞の遺伝子に異常が起こり、その細胞が増殖して皮膚から盛り上がり、メラニンを蓄えて褐色〜黒色のイボ状になります。平坦なシミ(老人性色素斑)がさらに進行して盛り上がったものが脂漏性角化症と当院では考えています。
一般にいう「シミ」は、平坦なシミ(老人性色素斑)と盛り上がったシミ(脂漏性角化症)に分けられます。紫外線と皮膚の老化が原因となるため、次のような方は特に注意が必要です。
- 野外でスポーツや仕事をする方
- 色白で、外出時に日焼け止めを使わない方
- 日焼けサロンを利用する方
胸・腹・背中など、普段は日光が当たらない部位にできることもあります。これは若い頃の海水浴などで長時間紫外線を浴びたことが原因と考えられます。一方、紫外線が当たらない殿部にはできません。
予防
予防は紫外線を避けることです。野外での活動時にはサンスクリーンが必須ですが、効果の持続は2〜3時間程度のため、長時間の屋外活動では塗り直しが必要です。
脂漏性角化症はシミ(老人性色素斑)とどう見分けますか?
最大の違いは「盛り上がっているかどうか」です。脂漏性角化症はダーモスコピー(ダーモスコープという拡大鏡を使う検査)でわずかな隆起が確認でき、老人性色素斑は平坦です。両者は混在することが多く、肉眼では区別がつきにくいため、診察での確認が必要です。
顔のシミには、平坦な老人性色素斑と盛り上がった脂漏性角化症が同時に存在することがよくあります。脂漏性角化症は、老人性色素斑よりも細胞のダメージがさらに進んだ状態と考えられます。
| 見分けの観点 | 脂漏性角化症(老人性イボ) | 老人性色素斑(いわゆるシミ) |
|---|---|---|
| 盛り上がり(触感) | わずかに盛り上がる(隆起あり) | 平坦で盛り上がらない |
| 色 | 褐色〜黒色 | 薄い褐色で境界が明瞭 |
| ダーモスコピー所見 | 拡大鏡でわずかな隆起が確認できる | 隆起がなく平坦 |
| レーザーへの反応 | Qスイッチ・ピコ秒レーザーのみでは取り切れない/再発することがある | Qスイッチ・ピコ秒レーザーで除去できる |
| 経過 | 老人性色素斑が長年で盛り上がり移行することがある | 長年放置すると盛り上がり、脂漏性角化症になることがある |
肉眼での判別は難しく、ダーモスコピーで観察して確認します。混在することが多いため、当院では医師がどのシミが何かを確認したうえで治療方針をご説明します。
シミ取りレーザーで消えなかった・再発したのはなぜですか?
盛り上がった脂漏性角化症は、Qスイッチレーザーやピコ秒レーザーだけでは取り切れず、いったん消えても数か月〜数年で同じ場所に再発することがあります。表面のメラニンを壊しても、盛り上がりをつくる表皮基底細胞が深く残るためです。
脂漏性角化症は普通のシミより紫外線によるダメージが強く、盛り上がっています。シミ治療でよく使われるQスイッチレーザーやピコ秒レーザーは平坦な老人性色素斑には有効ですが、厚みのある脂漏性角化症では取り残しや再発が起こりえます。「シミをレーザーで治療したが消えなかった」「数か月〜数年して同じ場所にシミが出てきた」という場合、そのシミは脂漏性角化症の可能性があります。
他の治療法について
脂漏性角化症には、液体窒素による冷凍凝固、電気メス・高周波での切除、IPL(光治療)なども用いられます。液体窒素は保険適用で安価ですが、顔では半年〜2年ほど炎症後色素沈着が残ることが美容上の課題になります。IPLはメラニンを薄くする機器で、老人性色素斑や脂漏性角化症を消す力はありません。ウイルス性イボに使われる漢方薬のヨクイニンや、市販のイボコロリ、処方薬の塗り薬も、脂漏性角化症には効果がありません(ウイルスが原因ではないためです)。
どの治療が適するかは、シミの種類・厚み・部位によって異なります。自分が受ける治療が何に作用するものかを知ったうえで選ぶことが、結果の納得につながります。
他院でシミが取れなかった・取れないと言われた方へ
レーザー治療を受けても消えなかった、「これ以上は取れない」と言われた——そうしたシミの多くは、盛り上がりのある脂漏性角化症です。当院では炭酸ガスレーザーで盛り上がりを蒸散させてから、残った細胞をピコ秒レーザーで破壊する2段階治療を行うため、Qスイッチ・ピコ秒のみでは取り切れなかった脂漏性角化症にも対応できます。
「シミを取りたい」と治療を受けたのに消えなかった、再発した、という経緯で来院される方は少なくありません。盛り上がったシミは、表面のメラニンを壊すだけでは取り切れず、盛り上がりそのものを蒸散させる必要があります。だからこそ、何のシミかを見極める診察が最初に必要です。
当院は当日治療を行わず、治療を押し付けません。まず何のシミかを医師が見極め、必要な治療をご説明したうえで、ご自宅で検討いただけます。
当院の脂漏性角化症診療
脂漏性角化症のレーザー治療は、診察・カウンセリングから治療(レーザー照射)まで、院長(医師)が担当します。ダーモスコピー(拡大鏡による検査)による視診でシミを鑑別し、治療方針を決定したうえで、レーザーを照射します。
脂漏性角化症の治療に取り組んできた年数
当院は2005年の開院以来、レーザーによるシミ・脂漏性角化症の治療に取り組んできました。
当院の治療方針
盛り上がりのある脂漏性角化症は、表面のメラニンを壊すだけでなく、盛り上がりを蒸散させ、深く残る細胞まで破壊することを重視しています。炭酸ガスレーザーとピコ秒レーザーを組み合わせ、再発を抑えることを方針としています。具体的な治療内容は、次の項目でご説明します。
山手皮膚科クリニックでは脂漏性角化症をどう治療しますか?
当院の脂漏性角化症治療は、スキャナ付き炭酸ガスレーザー「コア」で盛り上がりを薄く蒸散させ、深さがある場合はピコ秒アレキサンドライトレーザー「ピコシュアプロ」で残った細胞を破壊する2段階です。盛り上がりと残存細胞の両方に対応することで、傷になりにくく、再発の抑制を図ります。
1. スキャナ付き炭酸ガスレーザー「コア」で蒸散
盛り上がった脂漏性角化症は、皮膚から出た部分を薄く削る(蒸散させる)必要があり、炭酸ガスレーザーを用います。当院では主にスキャナ付き炭酸ガスレーザー「コア」を使用します。スキャナ機能により、カンナで削るように深さ・大きさを変えながら正確に薄く削り取ることができ、脂漏性角化症をきれいに治療するうえで欠かせない機能です。
2. ピコ秒アレキサンドライトレーザー「ピコシュアプロ」で残存細胞を破壊
炭酸ガスレーザーで蒸散させても、その下に脂漏性角化症の原因細胞や真皮に落ちたメラニンが残ることがあります。ピコシュアプロでこれを破壊し、再発の抑制につなげます。また、全顔治療では脂漏性角化症に老人性色素斑が混在していることが多く、ピコシュアプロは平坦な老人性色素斑の治療にも適しています。両機器を使い分けることで、顔にあるシミ(脂漏性角化症と老人性色素斑)をまとめて治療します。
機器の詳細は スキャナ付き炭酸ガスレーザー「コア」のページ、ピコ秒アレキサンドライトレーザー「ピコシュアプロ」のページ をご確認ください。なお当院では2025年11月より、シミ治療の機器をQスイッチレーザーからピコ秒アレキサンドライトレーザーへ変更しています。
症例紹介
盛り上がりのある脂漏性角化症を、炭酸ガスレーザーと併用レーザーの2段階で治療した症例です。個別治療(1個)から全顔の多発例まで、いずれも自由診療です。費用・経過・主なリスクは各症例に併記しています。
症例1:頬部の脂漏性角化症(個別治療・1個)
50歳代女性。頬部の盛り上がったシミの除去を希望して来院。診断は脂漏性角化症。局所麻酔の注射後、スキャナ付き炭酸ガスレーザーで蒸散し、残存細胞をレーザーで破壊しました。
治療内容:スキャナ付き炭酸ガスレーザー+併用レーザー/治療回数:1回/通院回数:3回(治療時・1週間後・3か月後)/費用(税込・当時):25,920円/主なリスク・副作用:照射部位の炎症、痂皮・びらん(上皮化まで約2週間)、一過性の炎症後色素沈着(通常6か月〜1年半で消失)。効果・経過には個人差があります。自由診療です。
症例2:顔全体に多発した脂漏性角化症(全顔治療)
60歳代男性。顔全体のシミの除去を希望して来院。顔面全体に脂漏性角化症が多発(200個以上)。クリーム麻酔を顔全体に塗布し、大きい病変には麻酔の注射を追加。1つずつスキャナ付き炭酸ガスレーザーと併用レーザーで照射しました。
治療内容:スキャナ付き炭酸ガスレーザー+併用レーザー(全顔)/治療回数:1回/通院回数:4回(初診・治療時・1か月後・6か月後)/費用(税込・当時):合計294,090円(レーザー照射275,000円+麻酔・薬剤等19,090円)/主なリスク・副作用:照射部位の炎症、痂皮・びらん(上皮化まで約2週間)、一過性の炎症後色素沈着(通常6か月〜1年半で消失)。効果・経過には個人差があります。自由診療です。
いずれも2025年11月の機器変更前の症例で、併用レーザーにはQスイッチレーザーを使用しています(現在はピコ秒アレキサンドライトレーザーを使用)。
治療の流れはどうなりますか?
完全予約制です。初診は画像撮影と診察・カウンセリングのみで、当日の治療は行いません。治療は後日のご予約です。個別治療では、1回の見積り・1回の治療で対応できるのは10箇所までです。
- 予約(WEB)予約サイトの「自費レーザー治療 カウンセリング・経過診察の予約」から「シミ・そばかす・脂漏性角化症のご相談」を選択。個別治療を希望される場合は、治療したい箇所を決めてからご来院ください。
- 初診・撮影・診察診察の補助と経過確認のために肌画像撮影機(VISIA)で撮影し、医師がダーモスコピーによる視診で脂漏性角化症かどうかを確認します。撮影は記録が目的で、機器による肌診断は行いません。治療の押し付けはせず、当日の治療は行いません。治療箇所は患者様ご自身に決めていただきます。
- 治療の予約カウンセリングで提案した治療を、予約サイトからご予約いただきます。
- 前処置(必要な場合)肝斑やくすみがある場合など、医師が必要と判断したときは、レーザー治療の前に前処置を行っていただきます。個別治療ではハイドロキノンクリームの外用、全顔治療ではフォトフェイシャルM22(IPL)を看護師が行うことがあります。これらは治療の反応性・安全性を整えるための前処置で、シミ治療そのものではありません。医師が前処置を必要と判断した場合、前処置を行わずにレーザー治療を受けることはできません。
- 治療局所麻酔(個別治療は注射麻酔、全顔治療はクリーム麻酔と神経ブロックを併用)のうえ、炭酸ガスレーザーで蒸散し、必要に応じてピコ秒レーザーで残存細胞を破壊します。治療部位には創傷保護テープ(ビジダームテープ)を約2週間貼ります。
- 経過診察原則として治療1週間後・約1か月後、全顔治療ではさらに約4か月後に経過を確認します。上皮化までは約2週間、その後に一過性の炎症後色素沈着が生じ、通常6か月〜1年半で薄くなります。
脂漏性角化症の治療費用はいくらですか?
自由診療です。自費初診料が3,300円(2回目以降の再相談は経過診察料1,650円)、個別治療はシミの大きさで決まり、長径4㎜未満1個が8,800円、長径10㎜未満1個が30,000円です。顔全体治療は散在する場合で132,000円〜165,000円、密度に応じて最大550,000円です(いずれも税込)。注射麻酔代は無料です。
| 項目 | 費用(自費・税込) |
|---|---|
| 自費初診料 | ¥3,300 |
| 経過診察料(2回目以降のご相談=再相談) | ¥1,650 |
| 個別治療 長径4㎜未満が1個 | ¥8,800 |
| 個別治療 長径5㎜未満が1個 | ¥11,000 |
| 個別治療 長径10㎜未満が1個 | ¥30,000 |
| 個別治療 長径15㎜未満が1個 | ¥44,000 |
| 個別治療 長径20㎜未満が1個 | ¥70,000 |
| 個別治療 長径20㎜以上が1個 | ¥80,000〜 |
| 顔全体治療(顔に散在する場合) | ¥132,000〜¥165,000 |
| 顔全体治療(顔全体を覆うような密度) | ¥165,000〜¥330,000 |
| 顔全体治療(顔全体を覆うような高密度) | ¥330,000〜¥550,000 |
| 注射麻酔代 | 無料 |
| クリーム麻酔代(顔全体) | ¥3,300 |
| 消炎鎮痛剤(ロキソプロフェンNa・3日分) | ¥270 |
| 鎮痛剤(カロナール・3日分)※ロキソプロフェンNaが飲めない方 | ¥330 |
| トラネキサム酸(60日分) | ¥2,640 |
| 創傷保護テープ(ビジダームテープ) | 中¥1,100/大¥1,650 |
| 抗炎症軟膏(ロコイド軟膏5g) | ¥170/本 |
| 抗生剤軟膏(アクアチム軟膏10g) | ¥720/本 |
| 絆創膏(6枚入) | ¥110/袋 |
| ワセリン(プロペト・30ml容器入) | ¥440 |
| コンタクトシェル使用+抗生剤点眼薬 | ¥3,000 |
個別治療のレーザー料金は、治療当日に実測した大きさ(長径=最も長い直線距離)に基づいて確定します。1回の見積り・1回の治療で対応できるのは10箇所までです。最新の料金は 料金表 をご確認ください。
主なリスク・副作用:照射部位の炎症、痂皮・びらん(上皮化まで約2週間)、一過性の炎症後色素沈着(通常6か月〜1年半で消失)。効果・経過には個人差があります。
自費診療に関する表記
| 診療区分 | 自由診療 |
|---|---|
| 照射出力等 | ピコ秒アレキサンドライトレーザー 1〜4J/c㎡、炭酸ガスレーザー 1〜10mJ/c㎡ |
| 治療期間・回数 | 治療回数は原則1回(経過により追加することがあります) |
| リスク・副作用 | 照射に際して局所麻酔含有クリームまたは麻酔注射剤を使用します。治療後、照射部位に炎症が起こり、痂皮・びらんとなって上皮化まで約2週間かかります。その後、一過性の炎症後色素沈着が生じ、通常6か月〜1年半で消失します。 |
| 費用(税込) | 個別治療 長径4㎜未満が1個 ¥8,800〜、顔全体治療 ¥132,000〜¥550,000。別途、診察料・薬剤費等が必要です。使用機器:スキャナ付き炭酸ガスレーザー「コア」、ピコ秒アレキサンドライトレーザー「ピコシュアプロ」。 |
| 承認区分 | 炭酸ガスレーザー(コア)、ピコ秒アレキサンドライトレーザー(ピコシュアプロ)は、いずれも国内承認機器です。 |
シミ取りレーザーで消えなかった方、盛り上がったシミが気になる方へ。当院は当日治療を行わず、まず何のシミかを診断し、説明したうえで、ご自宅で検討いただけます。
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