更新日:2021.1.6/公開日:2017.3.7
このコンテンツは山手皮フ科クリニック 院長 豊福一朋が100%オリジナルで書いています。
眼瞼黄色腫
眼瞼黄色腫で皮膚科をいかれると、多くの場合は大学病院や基幹病院の皮膚科や形成外科に紹介され、そこでメスでの手術をすすめられるようです。
あなたが、「メスでの手術は怖い」、「黄色腫の部分を切除して縫い合わせれば目が引きつるのでは」と心配されているのであれば、レーザー治療もご検討されればいかがでしょうか?。
眼瞼黄色腫の症状
眼瞼黄色腫は上下眼瞼(まぶた)にできる黄色の扁平な隆起です。
高脂血症があると結節状に盛り上がるという印象があります。
中年以降の人に比較的多くみられます。
30歳台男性の両側上眼瞼の平坦な黄色腫
50歳台女性の両側上眼瞼の結節上に盛り上がった黄色腫
20歳台後半女性の下眼瞼の結節状の黄色腫
眼瞼黄色腫の原因
機械的刺激や炎症によって、血液中のリポタンパク(血液中の脂質の総称、LDLコレステロール、悪玉コレステロールなど)が血管外に漏れ出て、マクロファージなどの組織球がこれを取り込みます。
取り込んだ組織球は泡沫細胞に変化して皮下に沈着するのが原因です。
1/3は高脂血症と伴い、高脂血症Ⅱ型(LDLコレステロール、いわゆる悪玉コレステロール高値)の場合が多いのですが、2/3では高脂血症が認められません。
眼瞼黄色腫の治療
高脂血症Ⅱ型がある場合は、内科で治療を行います。
食事療法や内服薬(シンレスタール:商品名プロブコール)で治療します。
プロブコールを数か月内服する小さくなることがあります。
当院ではプロブコールを1年内服していただき、ほとんど消えた方がいらしゃるので、手術の前にプロブコールの内服をしてみる価値があります。
手術後もプロブコールの内服は眼瞼黄色腫の再発率を下げると考えています。
内科治療を行わなかったり、手術後の中止した場合は再発率は40%という報告があります。
高脂血症がない場合でもLDLコレステロールは正常値内高めのことがあり、この場合でも内科治療をおこなったほうがよいというのが代謝病専門の内科医の意見です。
メスでの切除術
メスで切除する方法です。黄色腫を紡錘形に切除し縫合します。線状の傷跡が残ります。
レーザー治療
眼瞼黄色腫の治療には炭酸ガスレーザーが便利です。
炭酸ガスレーザーは波長10,600nmのレーザーです。
炭酸ガスレーザーは水に吸収される性質があります。
黄色腫は水分を含んでいるため炭酸ガスレーザーで蒸散させて削り取ることができます。
山手皮フ科クリニックではスキャナ付きフラクショナル炭酸ガスレーザー(シネロン・キャンデラ社CO2RE(コア2)レーザー)を使用します。
コア2レーザーを使用することによって、材木をカンナで薄く削るようにして、黄色腫を均一に蒸散させることが可能となります。
均一に蒸散させることは治癒の期間を短くし、手術後の傷を可能な限り少なくします。
治療時間は3~5分で、出血はほとんどありません。
治療後の痛みは軽度ですが、痛み止めの抗炎症剤を処方します。
シャワーは当日より可能で、洗顔はできます。傷は濡れても治りに影響はありません。
およそ2~3週間で傷は治ります。
数ヶ月後には赤みがとれ、メスでの手術に比べると、目立たない傷跡になります。
シネロン・キャンデラ社、CO2RE(コア2)レーザー
スキャナ付き炭酸ガスレーザーは組織を平坦に均一に蒸散させることができます。
スキャナ付き炭酸ガスレーザーは強い出力で一瞬で黄色腫を蒸散させるので、組織のダメージが少なく傷の修復が早くなり、通常型の炭酸ガスレーザーに比べて創跡がめだたなくなります。
治療例
治療前
局麻麻酔薬を注射します。
手術直後
スキャナ付き炭酸ガスレーザーで黄色腫を薄く削り取ります。
傷には創傷保護材を3週間貼ります。
治療後6か月後
傷跡が目立たず治癒しました。
症例説明:
眼瞼黄色腫の治療目的で来院。
血液検査で高脂血症があったのでプロブコールを内服したが効果がなかったため、2回目の受診時にレーザー治療をおこなった。
治療回数1回、来院回数3回(初診、治療1週間後、治療6か月後)。
治療にかかった費用※:初診料¥3,300、初診料¥1,650/回(2回)、手術料金\44,000、薬剤費\2,250、ビジダームテープ\1,650
※ プロブコール内服は保険診療
治療のながれ
診療にさいして予約は必要ありません。
高コレステロール血症、高脂血症が疑われる場合は血液検査をおこなう場合がありますので、健康保険証をご持参ください。お薬手帳、健康診断の採血結果があればお持ちください。
治療をお急ぎでなければ、プロブコールという高脂血症の内服を4~8か月ほど飲んでいただくのをお勧めしています。縮小することがあります。
縮小するとレーザー手術がおこないやすく、治療後の傷も小さいなります。
内服を4~8か月おこなっても黄色腫に変化がない場合、これ以上小さくならない場合は手術をおこなっています。
※最初から治療を希望されれば、治療をおこないますが、診察当日はおこなわず後日となります。
当日は治療説明と承諾書を差し上げるのみとなります。
眼瞼黄色腫レーザー治療料金
眼瞼黄色腫レーザー治療料金はこちらをご覧ください。
スキャナ付炭酸ガスレーザーによる眼瞼黄色腫治療の概要
診療区分 | 自由診療 | ||||||||||||||
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照射出力等 | 0.5~4J/c㎡ | ||||||||||||||
治療期間及び回数 |
治療は1回で終了 経過観察1~2週間後、1か月後 |
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施術によるリスク・副作用 | 治療直後にはレーザー照射部位に発赤と痛みがでます。。 まれに治療部位が盛り上がって治癒することがあります(肥厚性瘢痕)。 治療後はかならず陥凹した傷跡を残します。 稀に治療周囲部に小さく再発することがあります。この場合再度治療が必要です。 |
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施術に要する費用 |
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承認区分 | スキャナ付炭酸ガスレーザー・コアは国内承認機器です。 |
注)治療には、国内未承認医薬品または医療機器を用いた施術が含まれます。
治療に用いる医薬品および機器は当院の医師の判断の元、個人輸入の続きをおこなったものです。
個人輸入において注意すべき医薬品等についてはこちらをご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/050609-1.html